■2010.02
日めくり 2010年02月(平成22年) ◄►
2010.02.01 雪
「今日、夕方より首都圏も雪に覆われるでしょう」
明るい陽射しが窓から差し込む朝にテレビの天気予報はいう。
いやはや見事に当るものだ。
玄関を開けてみたら雪が積もっていた。久々に見る。
今さら、雪が降って心躍らせる歳ではないが、
ちょっと日常から離れた風景に見とれてしまった。
このまま積もってしまうと…明日の朝のことは、今は考えないでおこうか。
2010.02.02 白い記憶
2年ぶりに1センチの積雪だったそうだ。
チェーンもつけず営業先の埼玉から東北道をぶっ飛ばして、
立ち往生したのはもう20年も昔か。
半世紀前、下越地方は記録的な大雪だったらしい。
母親は大雪の中で、必死の思いで病院に運ばれ、相当な難産の末に私を産んだ。
産道からなかなか出てこれずに、医者は私の口に金具を掛けて引っ張り出したという。
おかけで顔の骨格がズレてしまい、私の口元は今でも歪んでいる。
きれいな笑顔が作れないことが、子供の頃はコンプレックスになっていた。
そんなことは今ではどうでもよくなってしまったようでいて、
ずっとしみついた癖で今でも記念写真で笑顔を作ることが出来ない。
あの時、大雪ではなかったとしたら、どうだったのだろう。
2010.02.03 都会
かわいい七つの子があるからよ〜
カラスが鳴くから帰〜ろ
夕陽の中をカラスが飛び去っていく場面など、いつ見たものやら。
子供の頃、団地住まいだったこの時分、
どこからともなく「鬼は外、福は内」の声が聞こえてきた。
一応、福と認定された男たちは家路をめざし、改札口で振替切符の配布に群がる。
そして都会のカラスは、生ゴミ収集日の明け方に鳴く。
2010.02.04 呻く
この辺境ページの一日の訪問者はごく僅かではあるのだが、
一応、世界中から覗けるはずだ。
そんな環境の中でこんなことを書くのもどうかと思うが、
夕べから今朝ほど、ひどい下痢に見舞われた。
小さなアパートの、さらに狭い空間の中で「ちくしょう、ちくしょう…」と呻いた。
とても無表情でことを粛々と用を足すことなど絶対に不可能。
両手で顔を引っ張ったり、歯を食いしばったり、白目を剥いて舌を出したり。
単に痛みに耐えてるのではなく、痛みを紛らわせようとするので、ある意味壮絶だ。
決してトイレの中に鏡をおいてはならない。
2010.02.05 朝昇龍引退
日本相撲協会が規定する横綱昇進の条件として、
(1)相撲に精進する気迫(2)地位に対する責任感(3)社会に対する責任感(4)常識ある生活態度。
いわゆる「品格抜群」の横綱となるのかを質す条項なのだが、
相撲を「国技」と定義するのは俗説だが、協会が国の庇護を受けているのは確かで、
そのためにもこういう、いかにも日本人的建前というのは必要なのだとは思っていた。
一昨日、朝昇龍が解雇処分ではなく自ら引退の決断をした。
斬首ではなく切腹だった。
朝昇龍という力士についての個人的な思いは別の話として、
横綱の地位に対しての落としどころとして、
この日本人的決着は仕方なかったのではないか。
2010.02.06 再起
朝昇龍の引退について書いたが、その後の朝昇龍の動向について、浮かんだ三人の顔。
アントニオ猪木、谷川貞治、ビンス・マクマホン。…それはそれで頑張ってもらいたい。
朝昇龍のように潰しがきかないのが千葉ロッテに転進した今岡誠。
同じストライプでも似て非ざるユニフォームに身を包んだかつての虎のスラッガー。
すぐに結果を出すことを要求される今岡に望むことはただひとつ。
「球団は何であと一年待たずに今岡をクビにしたんや!」と虎キチたちを怒らせること。
2010.02.07 あれから
あの時と変わらぬ姿でベリンダとクリストフォローがロンドンの街を歩く。
ジョン・バリーの音楽を聴くと胸が締め付けられそうになる。
「愛とは何か?」などと真面目に考えたことはない男だが、
高校生で観たときと同じ感動をしてしまったということは、
その辺りの進歩は皆無だということなのだろうか。
2010.02.08 なるほど…
詰め替え用の食器洗剤は、本体のボトルよりもかなり量が多い。
カラのボトルを満たしても1/3は余ってしまう。なかなかサービスがいいと思いきや、
実はこの中途半端な残りが、別の商品に浮気させずにリピートを生むという戦略か。
なるほど…最初に考えた人は非常に頭がいい。
「クポーン5枚集めればコーヒー1杯無料。本日はキャンペーンにつき4枚進呈!」
4枚進呈というのがミソなのだ。5枚あげたら芸がなく、2枚なら捨ててしまう。
「11月始まりのカレンダー」というのにも“やられた”と思った。
昔はセコかろうが何だろうが売上げのため、こんなことばかり考えていた。
たかが洗剤の詰め替えボトルでも、脳内のタイムマシーンは作動するものだ。
2010.02.09 なんだかねぇ
とっかかろうとしている「午前十時の映画祭」の大まかな予定を立てて一覧を作成。
未見のものも含め、50作品の殆どの監督名と主演者を資料がなくても書くことが出来た。
おお、まだまだ自分の記憶力は廃れてはいないぜ、と思いきや、
灰皿には火のついたタバコが2本並んでいたりする。
なんだかねぇ。
2010.02.10 トヨタ頑張れ
別にカーマニアでも、トヨタ車のファンでもなんでもないが、
リコール問題に揺れるトヨタの失敗は日本人としてかなり痛い。
ここぞとばかりに一斉にバッシングを浴びせる欧米世論や報道を見ていると、
我が胸に秘めたナショナリズムがムムっと鎌首をもたげていくのを感じる。
GMなどトヨタ車から乗り換えたら割引販売するというではないか。
別の話で、冬季競技などに全く興味はないが、バンクーバーが始まり、
初夏にはサッカーのことはよく知らなくてもワールドカップが開かれる。
今年の前半は内なるナショナリズムに燃えまくるかもしれない。
こんなことでさえ噴き出すナショナリズムなるものの深層は重い。
いや、阿呆みたいに軽いのか。
2010.02.11 早起き無用
実は「午前十時の映画祭」が、必ずしも午前十時の一回きりでもなく、
劇場と日程によっては夜の上映もあることがわかった。
これは非常に助かるということで、日が落ちかけた雨の中を出掛けた。
これでスケジューリングが楽になったのだが、
同時に生活のリズムを整えるというメリットを失ってしまった感がある。
現在、午前2時過ぎ。早く寝なければ。
2010.02.12 くさや
伊豆大島に行っていた上司が「くさや」をお土産に買ってきた。
さすが年収の違いか、私が昨秋に大島で買ってきたものとは肉厚が違う。
無謀(?)にも事務所の中で焼き、急遽、缶ビールが並び宴席となった。
それにしても職場に漂う激しい匂い、いや臭い。
何でわざわざこんな臭い物を作り出したのか。そして何故、こんなに旨いのか。
聞けば、魚を漬けるくさや汁は各店が先祖代々から熟成させ続けているもので、
とても一朝一夕で出来上がるものではない。新島でくさや汁は家宝級の扱いらしい。
四百年も引き継がれた秘伝の汁なのだから、旨いのは当たり前か。
帰宅の満員電車でマスクをつけたのはいうまでもない。
2010.02.13 冬季五輪
もうトリノでの荒川静香のイナヴァウアーから4年が過ぎた。
そうなると、もう長野から8年経つかいなと思ったら、
間にソルトレイクシティがあったので長野は12年も前の話だった。
まったく齢を重ねると4年に一度のサイクルなどあっという間だ。
近頃、オリンピックはそのことをいちいち痛感させるイベントとなっている。
2010.02.15 葉大根
職場の先輩から葉大根を戴く。2010.02.14 上村愛子、届かず
モーグルなど4年に一度見るだけの競技ではあるのだが、
正直言うとそれで十分だという気がした。とにかく見ていて疲れた。
上村が暫定2位。運命は残り予選上位者の結果待ち。
しくじれ!コケろ!という、このミス待ちの時間がしんどい。
それにしても表彰台に立つことの過酷さ。
メダリストたちの身体のパフォーマンスは凄まじかった。
4年に一度きりの30秒。ある意味では永遠の30秒。
「オリンピックとは何か?」と考えると、
結局はアスリートたちの想像を絶する鍛錬と忍耐。
そして無責任な「ガンバレ」の大合唱か。
大きな葉に小さな大根が束になっているもので、元々こういう品種だと思っていた。
聞けば、大根の収穫のために間引かれたもので、市場には殆ど出回らないものらしい。
自分の場合、好物のバリエーションが貧弱なので知らないものが多い。
さてどうやって食べたらいいのだろう。
情けないことに、常に「刻んで豚バラで炒める」という発想しか浮かばないのだが。
2010.02.16 咳き込む
睡眠中に激しく咳き込んで思わず跳ね起きた。
実は布団を顔まで掛けるとたびたび咳き込むことがあった。
綿埃を吸い込んでいるのかと思ったが、ふとダニではないのかという予感が走る。
そういえば最後に布団を干したのはいつだったか。
職場でそのことを話すと「布団乾燥機」を薦められた。
恥ずかしながら布団乾燥機なるものを意識したことがなかったので、
どんなものなのかも知らない。
ネットで調べてみるとダニはもちろん花粉や雑菌の除去にも効果的で、
靴や靴下、下着の乾燥にまで使えて、価格は安いものだと5000円台。
しかも今の時期はポカポカになって、梅雨から夏場はサラサラになるという。
何よりもダニが原因の気管支炎は相当に蔓延しているのだということなので、
今週中に布団乾燥機はぜひ導入しようかと思う。
2010.02.17 ♪ウィスキーがお好きでしょ
読み終えた小説に「近頃の若者は洋酒を飲まなくなった」という台詞があった。
確かに大人でも飲み屋で水割りのグラスを傾けている姿は見かけなくなった。
我々の学生時代はアルコールといえばウィスキーは定番。
先日、ハイボール飲みたさにサントリー角瓶を買う。
舌が妙な具合に記憶しているのか、角やレッドはバイトの給料日前を思い出させ、
オールドは給料日の夜の味がする。
窓の外は雪。今は、ホワイトのお湯割が恋しい。
2010.02.18 今宵、ビリー・ワイルダーと
職場から普段とは違うルートで新横浜へ。
JR東海ツアーズで3月大阪行きの格安新幹線の切符を予約。
そのまま日産スタジアムの横を歩いて小机駅へ。
誰もいない真っ暗な日本最大の競技場を、横浜市民でありながら間近に見るのは初めて。
小机駅から横浜線をひと駅乗って途中下車。
夜9時15分からの上映。モノクロの画面の中でおどけるシャーリー・マクレーン。
ビリー・ワイルダーのマジックがまったく色褪せていないことに驚く。
白い息が凍てつきそうな夜だったが、久々に一日をふた通りに過ごせて気分がいい。
2010.02.19 サイクル
久々の晴れ間とともに、随分と日が伸びてきたことをようやく自覚する。
三回寒くなって、四回暖かくなれば春到来ということだが、
こうして春を待っていると、あっという間に時が過ぎてしまう。
来る時間などいつも曖昧で、去っていく時間だけがきちんと刻まれていく。
2010.02.20 クリック
パチンコと通販だけは普段の金の価値を一変させる。
「こんなことも出来て、更にこんなものもついて、一万円を切ってこのお値段!」
7500円もする調理器具や洗剤など店頭にあったら絶対に買わない。
それでもネット通販の申し込みフォームをクリックするときの高揚感はただ者ではない。
あれは品物ではなく、クリックの高揚感に値段がついているのではないか。
楽天から「深夜バス」「ふとん乾燥機」「帽子式バンダナ」の注文完了メールが届く。
次は一泊二日のホテルを探し、申し込みフォームをクリックしなければならない。
帽子式バンダナ?…なんでこんなものを買ってしまったのだろう。
2010.02.21 シロコロ
以前なら焼肉屋に行けばバカのひとつ覚えみたいにカルビやロースだったが、
今やシロコロが一番旨いと思う。
シロコロといって通じるのは神奈川でも県央の住民くらいなのかもしれないが、
コリコリした食感だけど、じゅわ〜と脂が染み出してくるあたりが舌に楽しい。
まあこんなものばかり喰っているから体型は悲惨になっていく一方で、
しかもシロコロなどとネーミングされると共食いではないかという気がしないでもない。
ひとつ金言を披露すれば…
“それでも旨いものは旨い”
2010.02.22 城島初打席ホームラン
職場で「○○ちゃん、城島が大きく載ってるよ」とスポーツ新聞を見せに来た。
城島やったな!と思ったが、何てことはない紅白戦の初打席で柵越えしたらしい。
そうなると「誰じゃ?初打席で一発浴びとる投手は!」となる。
岩田が早くも開幕絶望という話が出た以上、上園には頑張ってもらいたいのだが。
2010.02.23 R-1ぐらんぷり
あべこうじは芸風もネタもまったく私のツボに来ないのだが、
優勝の瞬間に泣きじゃくったのには感動した。
一切の小道具なしでピンマイク一本で勝負してきたこともカッコよく思えてくる。
笑いではなく、涙がよかったというのは芸人に対して褒め言葉とはいえないのだけど。
2010.02.24 時効廃止案
何故、凶悪事件に時効なんてものがあるのかよくわからなかった。
それ以上に、明治に施行されて以来130年。
今まで抜本的な改訂がなされなかったのを不思議に思う。
被害者遺族の感情と、証拠能力の正当性というのが是非の焦点なのだろうが、
「国家が個人に対して永久に強権を駆使すべきではない」とは“人件派”弁護士の弁。
これはまるっきりアホだ。
いつ捕まるかもしれないという緊張感の中で生活している犯人の人権?
ならば一層、時効などないほうがいい。
2010.02.25 さいたま新都心
就業時間が終わり、帰路とは反対方向に向かって映画鑑賞を強行した。
浦和から与野、大宮辺りはよく外回りで日参していたものだが、
今やその当時の面影はなく、「さいたま新都心」として生まれ変わっている。
生まれ変わったというよりも、別の場所で作ったものを置いたような街。
そして厚労省の答申ではないが、タバコ一本吸うのも苦労する街になっていた。
折りしも春一番が、時代を巻き込むように先端的な建物を縫うように吹いている。
2010.02.25 息が詰まった
ちょいと遅めのランチタイムに定食屋の暖簾をくぐると、
備え付けのテレビではキム・ヨナが出番を待っているところだった。
「しまった…」と思った。
4年間の思いを数分間の演技に込める大一番を前に、
ほっけ定食など旨く食えるわけがない。
2010.02.27 お引越し
引越しの手伝いをする。
自分の引越しはともかく、人の引越しの手伝いは嫌いではない。
荷物を積み降しが終わり、車の荷台がカラになる瞬間が気持ちいい。
そういえば学生時代の春休みに引越しのバイトをやったことがある。
作業終了後に祝儀をくれる客、くれない客。冷蔵庫の水抜きをしていない客。
箪笥の置き場所をあーでもねーこーでもねーと指示を変える煩わしい客。
若い夫婦が親と同居することになり、早速、嫁姑の主導権争いが勃発した家もあった。
事情はどうあれ、引越しは人をハレにさせるから面白い。
2010.02.28 やらかす
干した洗濯物を雨でズブ濡れにさせてしまった。
やはり天気予報は直前のもので確認しなければならない。
映画館の座席についたら、お目当ての映画とは違う作品が上映されていた。
11番シアターに行くべきところを10番シアターに入ってしまったらしい。
年配の女性が入っていったので、勝手に決めつけてしまったのが失敗の原因か。
いつもより本編の開始が遅いので妙な感じはしていたのだが、気づいた時はすでに遅し。
マリリン・モンローのミュージカルを観るつもりが、笑福亭鶴瓶が画面で笑っていた。
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