■2009.02
日めくり 2009年02月(平成21年) ◄►
2009.02.01 ヨコハマ映画祭
17年ぶりに訪れたヨコハマ映画祭の会場で久々に朝から夜まで映画に浸かった。
滝田洋二郎、広末涼子、余貴美子のスピーチの余韻の中で上映された『おくりびと』。
素晴らしい映画に仕上がっていたことに感服。
アカデミーアワードでこの映画が大きく輝くことを願ってやまない。
2009.02.02 階段一段飛ばし
ほんの慰め程度だろうが、運動不足が深刻になり、
それでいて腹だけはしっかり減るものだから、かなり肥えてきた。
そこで朝、突然思いついたのが、
「エレベーター、エスカレーター禁止」
「階段は一段飛ばして昇る」
さっそくビルの4階にある事務所まで実行したのだが、
あまりに「ぜぇぜぇ」と息を荒くして現れたものだから、「尿道結石か?」といわれた。
2009.02.03 節分
“東北東やや右”などまったく気にしなかったが、
ついに生まれて初めて恵方巻きにかぶりついた。
夜、10時半の新宿駅では300円割引で投げ売られていた。
果たしてそんなものにご利益はあるのだろうか。
そうそう、何年か前のこと、
久々に実家に帰ったとき、自分の部屋に豆が落ちていた。
両親が撒いてくれたのかと、少しグッときたことを思い出した。
2009.02.04 つきあい
誰にでも欠点があるのは当たり前。
それを自分がどこまで受け止められるかで、人との関わり方が決まってくる。
そうやって、自分も人から選ばれているのだろうが、
もうつきあいを広めたいなどとは思わなくなっている。
浅くて薄いつきあいなら、狭くても深いほうがいい。
深めましょ。
2009.02.05 ねぼすけ
音源がどこにあるのかさっぱりわからないが、
朝の8時になると街じゅうに「♪チャララララララララ〜ン」という音楽が響く。
そういえば子供のときは夕方5時に「七つの子」のメロディが鳴っていた。
今朝はその「♪チャララララララララ〜ン」で布団から飛び起きた。
ひでぇ話で、5分で家を飛び出し、さらに5分後には電車のシートに座っていた。
中学時代、バスケ部の朝練のときとまったく進歩がないから凄い話だ。
職場についてまずやったことは洗顔と歯磨き。デスクについてから髭剃り。
今思えば、絶対に寝坊させなかった『ちりとてちん』は偉大だった。
2009.02.06 ネカフェ
会社帰りに新宿のネットカフェでブログ用の原稿を書いた。
どうしても自宅に戻るとあれやこれやと目について集中できないのだ。
おそらく新宿で一番安いネカフェで、大半がオープン席という店なので、
覗き見をする気はなくてもそれぞれのパソコン画面が目に入ってくる。
求人案内をチェックする者。オンラインゲームに興じる者。出会い系サイトを覗く者。
用途は様々だが、カウンターから10時間コースを求める声が後を絶たない。
ここで夜を明かす者たちすべてがネット難民というわけではないだろうが、
オープン席で漫画本を山積みしたまま寝ている若者たちを見ていると、
この街全体が動脈硬化を起こしているのではないかという気がする。
2009.02.07 奇跡の試合
テレビで “1988.10.19川崎球場”ロッテと近鉄の伝説のダブルヘッダーを特集していた。
プロ野球には幾多の名勝負があるが、あれほどの奇跡が重なった名勝負を私は知らない。
近鉄が西武を8ゲーム差から猛追。優勝の行方が最後のダブルヘッダーに託されたこと。
13日間15試合という強行日程の中で近鉄ナインがボロボロに疲れきっていたこと。
ダブルヘッダーの第一試合は延長戦をやらないというパリーグ規定があったこと。
第一試合と第二試合のインターバルが20分程度しかなかったこと。
4時間を越えて新しいイニングには入らないという決まり事があったこと。
すべてが7時間33分にも及ぶ、悲喜交々のドラマを生み出すお膳立てになっていた。
引退を決意していた梨田の最後の執念とマウンドで雄叫びをあげる阿波野。
高沢の8回裏の同点ホームランと有藤監督の長すぎた抗議。
スタンドに入りきれなかったファンで近隣のビルの非常階段が溢れかえり、
テレビ朝日の編成局長はレギュラー番組を飛ばして中継に踏み切るという大英断。
そして規定時間内で決着がつけられず、茫然としながら虚しい守備に着く近鉄ナイン。
「俺はグランドでは泣かない」と言い放った仰木彬は、実はベンチ裏で涙を流していた。
この試合で何度泣かされたかわからないのに、仰木のエピソードを聞いてまた涙が出た。
間違いなくあの日の川崎球場には神が降りていたに違いない。
2009.02.08 メガネ
メガネを買う。近眼のみのメガネを買うのは今回で最後かもしれない。
中学時代までは視力がいいことと、虫歯がなかったことだけは自慢だった。
今では裸眼で0.05、おまけに奥歯もガタガタだ。
高校に入ったあたりから自分の将来を見据える視力も悪くなっていったのかもしれない。
2009.02.09 マスク
朝の通勤電車で7人掛けのシートのうち5人がマスクをしていたので驚いた。
昨年暮れからインフルエンザの猛威が話題になった頃から増えていたが、
もう花粉が飛び交っているという話もあり、今度はその対策もあるのだろう。
私はマスクなど煩わしくて一日としてつけていられないのだが、
中には一年の半分近くをマスクで過ごしている人がいるのかもしれない。
はっきりいって「凄げー」と思う。
2009.02.10 悪酔い
「酒が弱くなった」これははっきりと自覚しているのだが、
しかし弱くなったというのは量が飲めなくなったということで、
旨いか、不味いか、については以前より敏感になったような気がする。
学生時代、ボトルキープの定番はダルマ(オールド)。
キープは2000円〜3000円くらいだったか。
それでも贅沢品で、級友のアパートではホワイトかレッドが当たり前。
オールドもホワイトも味の差を感じないで飲んでいたと思う。
試す気はないが、今、飲み比べてみたらどうなのだろう。
と、身体に良さげなのでウコン茶ハイを飲んで悪酔いしながら、これを書く。
2009.02.11 寝たなー
昔から建国記念日は2月11日だったのだと思うが、
この日付けをほとんど記憶しないまま、ここまで来てしまった。
「今日は憲法記念日だ」だといわれたら、そうなのかと思っているだろう。
どちらにしても週のド真ん中に祝日があるのは、今は嬉しい。
一年前ならきっと仕事がやりにくくてブー垂れていた筈だ。
とにかく0時に寝て8時半に起き、13時頃から18時まで昼寝した。
なんでこんなに眠いのざんしょ。
2009.02.12 集中
以前も書いたかもしれないが、
今、一日の中のどの時間を切り取っても布団があれば5分以内に寝られる自信がある。
電車の座席でもそうなので、本、雑誌、新聞などページを開いた途端に即寝だ。
帰宅途中にファミレスに寄り、「文芸春秋」三月号を集中的に読んだ。
ドリンクバーで何度もコーヒーをおかわりしながら、こんな日があってもいいと思った。
2009.02.13 ガード下
何年ぶりだろうか。有楽町と新橋の真ん中くらいにあるガード下で飲んだ。
イメージとして天井を走っているのはJRというより国電という名前が似合う。
場所柄、学生は皆無。客は全員ネクタイ。
会社の同僚、上下関係のコミュニティに個々が時間を提供し合っている図なのか。
しかし、そこには一杯のジョッキ、もつ煮込みの一皿を挟んだ緩やかな絆がある。
同じ境遇の一群に紛れ込みながら「今週はお疲れさん、また来週がんばりましょう」。
上下線の電車がすれ違い、重低音とともにジョッキのビールが波うった。
2009.02.14 春一番
ほろ酔い加減で寝床に沈みながら、
夏の間にベランダにつけたまま不精に放っておいた簾がもの凄い音を立てている。
夢枕の先っちょで迷いながら、とんだ近所迷惑だなと気にはなっていたのだが、
自然現象なら仕方あるめぇと朝までほったらかしていた。
厳しい寒さにじっと耐えながら、春が芽吹いていく境目の劇的な演出だと思えば、
ゆるやかな風であるはずがない。
2009.02.15 釣竿と魚
「文藝春秋」三月号に伊藤忠商事・丹羽会長の「釣竿と魚」という話が載っている。
空腹を満たすために本質的に必要なのは一匹の魚ではなく、一本の釣竿だと。
魚を与えてもその場しのぎの解決策に過ぎない。
釣竿を与えて訓練させるほうが最終的に飢えを凌ぐ術を勝ち取るのだと。
ひとつの至言ではないか。
2009.02.16 ハイ・ヌーン
CS放送の『真昼の決闘』を、おそらく中学生の時以来、久々に観た。
中学の時は孤立しながら悪と対決するゲーリー・クーパーが単純にカッコよく見えた。
ところが観直してみると実にシニカルなウエスタンであることがわかった。
聞けばホワイトハウス内のシアタールームで最も上映回数が多い映画だという。
アイゼンハワーが愛し、小泉純一郎がブッシュ会談の際に挨拶代わりに使い、
ビル・クリントンに至っては5回も6回も観ているという。
クーパーは自分で、さしずめグレース・ケリーはヒラリーだったのか。
民衆の理解は得られずとも、闘いに臨む姿に大統領像を投影していたのではないか。
映画は違うが、我が国でもドク・ホリディばりの記者会見をしでかした財務相がいた。
2009.02.17 寒の戻り
さすがに寒さには強いのが自慢の私であるが、気温20度を体感してしまうと、
急な寒の戻りは身体に厳しい。
「三寒四温」という言葉には春に向う明るい響きがあると思っていたのだが、
その渦中にいると、そんないいものでもない気がする。
灯油のポリタンクが空になってしまったが、注ぎ足すかどうか思案のしどころなり。
2009.02.18 ついつい
基本的には好きな味ではないし、「甘い袋菓子など食えるか!」という私であり、
こちらからは絶対に買わないのだが、貰うとついつい口に運んでしまう。
そういう奴だぜ、…芋けんぴ。
2009.02.19 宵待草
夕べの夜は早々と就寝して、睡眠時間8時間を達成。
しかし早起きって本当に3文の得なのだろうか。
たった3文くらいなら、早寝で失われる夜中の濃密な時間の方が惜しい。
そういう性分なので、すぐに宵っぱりになってしまう。
2009.02.20 豈、図らんや
一番最初に世話になった職場での直属の上司が退職するということで、
新宿の大ガート近くの飲み屋で一献傾けることになった。
思えば、この人に面接してもらったときは、まだ「大学卒業見込み」という身分。
干支がほぼ一回り上。還暦を迎えるということで、時の流れの早さに感慨もひと潮だ。
ところが豈、図らんや「会社があまりにもひでぇので辞めてやったのだ」という。
「お疲れさまでした」の感謝の気持ちを胸に高田馬場まで駆けつけたつもりが、
この不況時にいかに儲けていくかという話をとうとうと聞かされることになる。
脂ぎった団塊世代のエネルギーにあてられながら、
60歳など、まだまだ現役であると実感した。
2009.02.21 炭酸泉
とにかく肩こりが「半端ねぇー」状態で、久々にスパに行って炭酸泉に浸かる。
効能書きには、炭酸は皮膚から吸収し、心拍を活性化させて血流を促進すると。
本当はマッサージも受けようと思ったのだが、あれは揉み返しが恐い。
なるほど炭酸を皮膚から吸収したのだろう、やたらとゲップが出た。
それで炭酸泉で少しは肩が軽くなったのかというと、どうなのだろう。
やはりこういうのは続けていかないと効果は薄いのか。
その足で映画館に寄ったのだが、緊張してスクリーンを見つめていたものだから、
エンドロールが出る頃には肩がカチンカチンになっていた。
2009.02.22 季節感
春にはまだまだ遠いいが、真冬という感じでもない。
そういえば肌で体感すること以外に季節を感じることってあるだろうか。
悲しいかな外に出ても草花から季節の移り変わりを察する知識がない。
春キャベツ、たらの芽、ふき、菜の花、いちご、雛あられ…。
私の季節感のすべてはスーパーの食品売場にだけ置いてある。
2009.02.23 祝!『おくりびと』オスカー受賞!!
三原橋の小汚い小屋で、誰にも知られず上映されていた滝田洋二郎の映画。
あれからすでに四半世紀。
先日、ヨコハマ映画祭で「まだスピーチなんて考えてない」と笑っていたが、
現実にロサンゼルスから滝田洋二郎のスピーチがニュース映像で飛び込んできた。
ここまで気分爽快なサクセスストーリーは久々だ。
2009.02.24 傘
電車の中ほど傘が邪魔だと思う場所はない。
座りながら股の間に挟むにしても、油断するとズレてきて倒してしまう。
立っていても鞄を持っているので吊り革も握れず、人を濡らさぬさぬように気も配る。
濡れたままの折りたたみ傘というのも、鞄にしまえず案外始末におえない。
おそらく電車の中では傘の処遇にはみんなストレスを感じているのだろう
朝に降って、夕方に止むなんて日には、事務所に傘がたまってくる。
この季節には雨がよく降る。…らしい。今まで全然意識していなかった。
2009.02.25 言葉
年配者の多い職場で働いていると、時たま「ほう」という言葉に出くわす。
雑談の中で不妊治療を受ける人たちの数の多さと、費用負担について話題が出たとき、
「事情はわからんけど、子供がいない人の前で俺は絶対に子供の話はしないんだ」と。
実際、子供が出来ない夫婦の前で、それを囃し立てる親戚を苦々しく思ったことがある。
私のような人間ですら、面と向っていわていれる方の辛さはよくわかる。
様々な人生を見てきた先輩が、経験値から出してくる言葉は重いのだ。
2009.02.26 立ち飲み
月に何度かJR池袋駅構内の立ち飲み屋でビールを飲む。
ユニオンジャックが内装にあるのでロンドンあたりのパブスタイルなのだろう。
それにしても毎度大入り満員。
世知辛い世の中で腰据えて飲むより、プラットホーム直結で一杯ひっかける安心感か。
帰宅する前に一日の何かしらの句読点を打ちたいと思う庶民のさもしさがいい。
ここで7杯も8杯もジョッキを空けるなら居酒屋に行く方がいい気がしないでもないが。
2009.02.27 雪
そろそろ春かと思いきや、今年初めて都心に雪が降った。
この齢になると雪など降るな、積もるなと切に思ってしまうのだが、
雪が降るといつもの都会の喧騒がどこともない静けさに覆われる雰囲気は好きだ。
2009.02.28 野球の音
日本対埼玉西武のWBC強化試合をテレビで流していた。
野球中継は殆ど今年はじめてといっていいくらいに久々だったのだが、
一球一球の迫力が何だか凄い。
ストレートがキッチャーミットにめり込む感覚などが妙にリアルに感じられるのだ。
野球中継から離れていると、そんな具合になるのかと思っていたのだが、
しばらくして、鳴り物やヒッティングマーチがなかったからだというのに気がついた。
当たり前の話、野球の臨場感とはスタンドではなくグランドにあるのだ。
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