■2011.03

日めくり 2011年03月(平成23年)         


2011.03.01 Shoot Gaddafi

何十年も前にアメリカに行ったときのこと。
若者が着るTシャツにはライフルの標的にガダフィ。
“Shoot Gaddafi”とプリントされていた。
プロレスラーの藤原喜明を、古舘伊知郎は「UWFのガダフィ大佐」と名付けた。
もう、それからも四半世紀が過ぎた。
あまりに長すぎる独裁政権。前世紀の産物は流血に塗れて消されていくのかもしれない。
しかし絶対君主が去った後の国家は、更なる流血の禍に見舞われるのは歴史の習いだ。
リビアは世界第八位の石油産出力を誇るという。決して対岸の火事ではない。


2011.03.02 気にしない気にしない

この歳になってあまり細かいことは言いたくない。セコい人間とも思われたくない。
些事にとらわれず、何事にも不動を貫くことこそ男子の本懐だ。
ただ、今日食べた200グラムのステーキランチ。
同じものを注文したはずなのに隣の奴のがちょっと大きかった。
添え物のコーンもこちらのはべっちゃとしてたのに、隣のは鉄皿の上ではねていた。


2011.03.03 冬のぶり返し

スーパーの店頭でエンドレステープが「♪灯りをつけましょ、ぼんぼりに~」と唄う。
店員はパックのちらし寿司の残りに「3割引」のシールを貼る。
一週間前の半分に狭められた鍋もののコーナーには、ずらりとイチゴの平台が並ぶ。
「とちおとめ」も「あまおう」もそろそろ400円を割って、買いやすくなってきた。
こうして春のお膳立ては整っているのだが、夜になると限りなく零度に近くなり、
神奈川県内でも箱根あたりは雪が積もっているのだという。
こうして冬と春が交錯しながら移り変わるのが季節の風物詩なのだろうが、
なにも、一度気温20度までを身体に覚えさせなくても良かっただろうにと、
無粋な風物詩を恨みたくなるほどの寒々しい桃の節句だった。


2011.03.04 PM11:30六本木

午後7時、夜の六本木で働くお姉さんたちは7丁目のモスバーガーで化粧をする。
私はよく学生時代の思い出話をするが、その頃はまだ生まれていない娘たちか。
午後11時、ヒルズのシネコンから発光LEDの冷たい灯りに煽られるように5丁目へ。
この辺りに来たのは何十年ぶりくらいだろうか。ロアビルもハードロック・カフェも健在。
ニット帽を被った黒人の集団が等間隔に舗道にたむろう様はある意味で圧巻だ。
PM11:30六本木。自分の方がよほどエトランゼだ。


2011.03.05 素晴らしき哉、人生!

クラシックな名作映画っていいよな、と深夜帰りの余韻とともに就寝。
たっぷり寝坊するつもりが、隣の防音工事のけたたましさに起こされる。
ならば風呂にでも行くかと思い、炭酸泉に浸かり、水泡ジェットバスを腹に噴射。
瑣末でも細々とした煩わしさのすべてが泡と消えてしまえばいいのだけど。
夕方に帰宅したとたんにドッと睡魔に襲われて目覚めたら午後10時。
さぁて、いつ眠くなることやら。


2011.03.06 反町ロマン座はどこへ

今日の映画は封切りを待ちがらも、脅迫によって上映中止となった作品だった。
帰りに申告の関係で実家に立ち寄り、早速、母親の園芸店回りに付き合う。
陳列されたコブシやフヨウの鉢など枯れ木にしか見えんのだけど800円の値札。
よう解らんし、付き合いきれないので、母親を店に残して付近を散策。
昔はこの辺りにピンク映画専門の小屋があったが、今や跡形もない。
4本立てで300円。1作品あたり100円もしない映画館だった。
今思えば、そこそこの繁華街に堂々と裸の看板を出していたのだから大らかなもの。
上映中止と裸の看板。高校時代の思い出が何故か34年ぶりに交錯した。


2011.03.07 雪

♪ 雪でした あなたのあとを なんとなく ついていきたかった~
みぞれ混じりで、舗道に足跡が残るような雪ではなかったが、
都会に雪が降りそそぐ様が、天からの贈り物かと思えるほど綺麗だった。
「寒い寒い」とばかりいってないで、たまにはおめでたいと思うのもいいのではないか。


2011.03.08 結局、たかがカンニングじゃないか

例の京大入試問題がネットに流出した事件。
そもそもあれは事件だったのか?ただのカンニングとどう違うのか。
おそらく人類が「試験」を始めたときから、カンニングの歴史は始まった。
それだけの話なのだが、ネットが利用されたことでマスコミはヒステリックになった。
それに煽られた世間の関心も一斉に「犯人探し」に集中する。
カンニングは良くない行為、大半の受験生は真剣に臨んだのに卑怯だ、ごもっともな話。
しかしごもっともな正論がマグマのように19歳の少年に降りかかる。
これは想像を絶する恐怖だ。自殺も懸念されたという。
案の定、少年のプライバシーをほじくり出すような報道も出てきたようだ。
偽計業務妨害とやらで逮捕されたことも含めて、罪だとしても罰が大きすぎる。
警察はカンニング自体を罪に問うのではなく、少年を保護する目的もあったという。
記者会見の席でカメラの前で謝罪させられた予備校関係者には苦笑してしまったが、
あらゆる報道をどう読んでも単なるカンニングとしか私には思えなかった。


2011.03.09 苛っ

通勤中も仕事中も、つい「イラっ」とすることがある。
でもそれでいいのだと思うようになった。
無感動、無感情になる方がよっぽど怖い。
実は若い頃はもっと怒っていた。
また「イラっ」を膨らませないで小出しにすることもアリなのではないか。
ほら、「イラっ」としても、寝る前にはちゃんと醒ましとるじゃろ。
醒ませる程度の「イラっ」でおさめておきたいものだ。


2011.03.10 罵倒

あまりこのページを使って罵倒めいたことは書きたくはないのだが、
民主党は売国の輩も抱えていたのか。
政治倫理審査会会長が聞いて呆れる。会長辞任どころか政治家も辞めるべきだ。
ついでに日本人も辞めたらいい。


2011.03.11 遅くなりました。

真っ先にここに書かなければいけませんでした。
深夜になりましたが無事にアパートに帰宅。実家も大事ありません。
東北地方の甚大な被害の映像を見ると、とても地震の当事者とはいえませんが、
顛末の詳細はブログに書き残しておきました。
案じてくれた方々に感謝します。


2011.03.12 大地震・大津波

本来ならば「思わず目を覆いたくなるような」と書くべきだったか。
ブログに「思わず目を瞠った」と書いてしまった。しかし紛れもない事実だ。
一夜明けて飛び込んできた新たな映像の数々。大津波の凄まじさは想像を遥かに超えた。
潰れた屋根の上にトラックが突っ込み、そのトラックに船が乗り上げる。
日々の営みはもちろん、思い出さえも一瞬のうちに呑みこんでしまう脅威。
とにかく孤立している避難民が一刻も早く救い出されるのを祈るのみだ。


2011.03.13 想定外

未曾有の災害に大混乱する最中に原発事故のニュースがそれに拍車をかけた一日。
そろそろ枝野が質疑応答するのは限界ではないか。
チェーンメールも着た。
「明日、放射能を含んだ死の雨が降るので、少しでも多くの知人の方にお報せください」
せめて、無駄な夜なべはしないで節電に協力しましょうか。


2011.03.14  ALL JAPAN

半数の職員が欠勤。少なくともこの状況だけは何とかしてもらわなければならないが、
避難所では肉親の安否を祈りながら、寒さの中で眠れぬ夜を過ごす大勢の人々。
予断を許さない原発では、技術者たちは死線ギリギリの中で懸命な努力を続けている。
自衛隊も消防も警察も不眠不休で瓦礫の山の中で救助活動を続けている。
鉄道の運行状況で混乱したかもしれないが、実際、混乱の中の初日なのだから仕方ない。
こんな大規模な節電施策を、僅か数時間のうちに秩序を正すのは難しいのが当り前。
停電するはずのものが、停電しなかったのだから、それはそれで良かったじゃないか。
NHKでは原発一号機の上部が骨組みになった検証に無駄な時間を費やしていたが、
NNNではすでにその爆発の瞬間をとらえた映像を何度もオンエアしていた。
スクープとしてもこの非常事態だ、場合によっては映像の共有はするべきだろう。
とにかくこの難局をALL JAPANの精神で乗り越えなければならない。


2011.03.15  タイトル思いつかず

小沢グループの造反、カンニング、前原外相の外国人献金問題と辞任、都知事選出馬、
メア外交官の失言、政倫審会長の竹島領有権署名問題。
ついこの間のことが、遥か彼方昔の出来事のように感じる。
地震の直後、無事を報せる連絡を最後に音信不通なんてことがあっていいのだろうか。
と、ここまで書いた途端にグラっ。今度は静岡東部で震度6強だと。
今度はこれの余震が来るのかいな。。。


2011.03.16 不安

少し池袋で遅くなり、客もまばらな地下鉄丸の内線で帰宅する途中のこと。
茗荷谷を過ぎた辺りで突然停止。
「ただ今、信号が緊急地震速報を感知しました。この後すぐに揺れが起こることがありますので、その場を動かずつり革、手すりにお掴まりください」
モーター音も止まり一切の音が消えた車内。誰もが息を飲むように押し黙る。
1分ほど停車したか。幸い揺れを感じることはなかったものの、
シーンとした地下鉄に閉じ込められながら揺れを待つ不安感、、、
尋常なストレスではなかった。


2011.03.17 故郷

「東京に出てきて40年経つと、あまり名前も憶えてないんだよね・・・」
と、職場の先輩がひとり、生家である陸前高田市の避難者リストを睨んでいた。


2011.03.18 あれから一週間

この一週間は長かった。
国道246を延々と歩いたことがひと月も前のように感じる。
しかし福島第一原発の瀬戸際の攻防だけではなく、災害は依然として現在進行形だ。
行方不明者、安否未確認者も多数。まだまだ生活物資が届かない避難所もある。
「今、一番欲しいものは何ですか?」
避難所で過ごすおばあさんに突きつけられる不躾なマイク。
「それは息子からの生きているよという便りです」
・・・まだまだ日本の、日本人の戦いは続く。


2011.03.19 ふざけた話

そういえば今日やる予定だった日ハムとのオープン戦のチケットを買っていた。
この一週間、野球のことを考える気分にはなれなかったのだ。
しかし「こんな時期に野球どころじゃないだろ」とまでは思わない。
テレビでもバラエティが再開したように、
スポーツやエンターティメントの役割はこれからも信じていきたい。
ただ現実問題として、ナイターやドームで野球をやることが世間の支持を得られるのか。
おそらく100%有り得ない。そこを考えない球団オーナーたちの損得勘定を疑う。
結局3/25の開幕を強行しようとしたセ・リーグはワンカードだけ開幕を延期した。
自浄作用ではなく行政の圧力で落としどころを見つけただけの話で情けない限りだ。
両リーグで足並みを揃えることが出来なかったNPBには大いに失望した。


2011.03.20 何することもなく

ただ、ボーとテレビをつけながら三連休を過ごしている。
おかげで原子炉の大まかな断面図くらいは描けるかもしれない。
仁科母娘のCMを繰り返し眺めながら、自分が使っている安物のコップと同じだと発見。
ガン検診は大事なことだが、この時期にそれを優先して訴えることなのか。
昨日、自転車のカゴに空になった灯油のポリタンクを入れて走り回った。
あるスタンドでは入荷がないといい、別のスタンドでは灯油にまで人が回らないという。
原発推進派は安全神話を抱き、人によっては反対派を新興宗教と揶揄していた。
とにかく神話も宗教も、今は命を賭けた男たちに委ねられている。
素人目にも好転しているとは思えないが、男たちの勇気は今の気分を救っている。


2011.03.21 すごい時代

天気予報から花粉天気図が消えて、代わりに各地の放射能濃度が出るようになった。
もしかすると風向きも併記されて恒常化するのかもしれない。
「神奈川西部の放射能は平常値ですが、念のため帽子を着用してお出掛けください」。
まったく、すごい時代になったものだ。


2011.03.22 復興以前に

石巻で九日ぶりに救出された祖母と孫など奇跡中の奇跡で、
身内を亡くされた方の話を聞くと、現地はとても奇跡を期待する気分ではないという。
切実な願いは、せめて亡骸でもいいから帰ってきて欲しいということ。
荒涼とした街の残骸を肌で実感していない我々とは感覚が違うのだろう。
ようやくお姉さんの検死が終了したものの、今度は埋葬許可がなかなか下りない。
火葬も四月にならないと行うことが出来ないらしい。これは何とも過酷な話だ。
復興以前の問題でニュースにならない闘いはまだまだ続く。


2011.03.23 ダメだこいつは

読売巨人軍オーナーの滝鼻貞雄の発言に野球ファンは怒り心頭だ。
だが「開幕を何日にしろというのはお上が決めることか」というのは正論。
あくまでもNPBが自分で決めなければならないのは当然のことだ。
しかし、ここで世論に喧嘩を挑むような言い草には失望する。
今、プロ野球が世間からどんな目で見られているか、まるでわかっていない。
「プロ野球が悪者になっていくのがつらい」というファンの声もある。
エンターティメント産業のオーナーとしても、商売人としても完全に失格だ。


2011.03.24 変な話

首都圏内のスーパー、コンビニから自販機まで、ペットボトルの水が消えた日。
ちょっとした野暮用で上野駅に行った。
必要最低限の照明しかない薄暗いコンコースを歩きながら、
ふと、妙な懐かしさに包まれた。
遠い昔、親の帰省で歩いたあの日の上野駅がこんな感じだったか。


2011.03.25 新井、よう頑張った

選手会会長としてこの度は大変な試練だったと思う。
12球団選手会の総代として、新井が一番にこだわったのがセパ同時開催。
4月12日開幕にどれほどの意味があるのかわからないが、
国難に際しALL JAPANの精神が叫ばれる中で、プロ野球の役割として、
セパ同時開催というのは「はじめの一歩」として必須だったと思う。
開幕をめぐる問題で、世間から問われたのがプロ野球界の自浄努力だったのだから、
選手会の努力にプロ野球は随分と救われたのではないか。
お疲れさまでした。


2011.03.26 被曝作業員

自衛隊や消防隊の活躍には大いなる感謝と尊敬の思いで一杯だが、
彼らは私などが書くまでもなく英雄的行為が世間から賞賛される人たちではある。
しかし東電の社員でもない社外作業員の三人が被曝したことについては、
放射能防護服に不備があり、人為的ミスを指摘する声の方が大きいような気がする。
彼らは「国民への奉仕」を政令で定められ、宣誓して任務にあたる公務員ではない。
原子炉の本当の最前線で命を懸けるのは、彼ら名もなき技術作業員たちだ。
それでも彼らを揺り動かしているのは「使命感」であるに違いない。
我々は英雄譚の影で名もなき男たちの決死の思いも忘れてはならないのではないか。


2011.03.27 一退一憂

昨日の書き込みをアップしたときは、名もなき民間人の献身への思いもあった。
しかし、すべての原子炉が白煙をあげているのを見て思った。
復旧作業=英雄的行為。それは本来ならあってはならないロジックだ。
どのみち原発とも、悲しいかな放射能とも付き合っていかなければならないのだから、
本当に重要なのは、もう英雄を作らないこと。
英雄など必要がない状態で作業者の安全を担保すること。
しかしそういう段階が見えてきたのかと思うと、また別の局面がやってくる。
ベクレルやシーベルトなど今まで知らなかった単位を聞かされてきたが、
ヨウ素134が1cc当たり29億ベクレル、131が1300万ベクレル。基準の1850倍。
ここまでの数字は初めて聞いた。


2011.03.28 頭ズキズキ

11日の震災以来、そのことばかり書いている。
野球のことでも書くかとなっても、結局は震災関連の枝葉の話になってしまう。
今、一番気になっているが朝から断続的に続く頭痛。
仕事に差し支えるほどズキズキと痛む。
まったく、震災から離れたことを書けば頭痛の話とは情けない限りだ。


2011.03.29 KAZU DANCE

創志学園の野山主将による選手宣誓と、今日の慈善試合でのカズのシュート。
このふたつは間違いなく日本に一歩踏み出す気分を与えてくれたのではないか。
熱狂の渦の中で「待ってました!」のカズダンスを見ていると、
スポーツエンターティメントの価値はこういうことなのだと改めて納得する。


2011.03.30 菜花のおひたし

職場の先輩から茨城の農家で収穫したナバナとホウレン草をいただいた。
「水で洗い流せば問題なし」ということなので、喜んでおひたしにして食べた。
これが美味い!ゴジラになるかポパイになるかという問題ではなく、春を感じる。
今現在、収穫した作物は出荷が止められて、処分を余儀なくされているということだが、
安全基準が議論百出では風評被害を加速するのみで、
それこそ春など来ないのではないか。


2011.03.31 異常な三月終る

大地震、大津波、原発事故。その結果もたらされた甚大な被害。不安と畏怖。
灯りの消えた大都会、薄暗いスーパーマーケットで繰り広げられた買占め買い溜め。
ホームにごった返す人並み、処分される農作物、日々悪化する経済情勢。
ニュースでは未だ行方不明者一万人超。好転の話など俄かに信じられなくなった原発。
まるで遅れてきた世紀末の終末思想に覆われたような三月だった。
麻痺するほど日常化した余震を感じながら、一生忘れられないだろう三月を思う。

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