■2017.09
日めくり 2017年09月(平成29年) ◄►
2017.09.01(金) 「日めくり」十年目へ
ひとつのことを丸9年も毎日続けたのは初めてのこと。
いや、このところ表題だけ書いて本文は後回しなんてことをやり始めている。
理想としては日記ではなく個人のコラムなどと洒落たつもりだったが、
そのどちらにもならず中途半端なことを積み重ねてきた。
何度か書いたかもしれないが、ここで自分自身のことを赤裸々に書くことはない。
おそらく何かを正直に告白することも稀であるだろう。
例えば鍵のついた日記帳であっても、私は私の心の柔らかい部分には触れないし、
それを書けないし、そのことで自分や他人を傷つける勇気も自信もない。
あくまでもその一日の自分の過去帳、備忘録程度のことに留めておくつもり。
自分の存在証明になってくれることを願いたいだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
・・・などと突き放したようなことを書いているようだが、
こんな辺境のページに訪れてくれる人たちを何人か知っている。
本当に有難うございます。
そんな有難い方々の目を煩わせないように、
なるべく長文にならないよう心掛けるつもりですが、それがなかなか難しくて(笑)
2017.09.02(土) 寒っ
昨日まで冷房25℃でシャツとパンツ一枚で寝ていた。
それが信じられないほど冷えた。
夏仕様のカレンダーがめくれた途端に一気に冷える。
トイレが近くなって目が覚め、長袖のポロシャツを着こんだ。
そして雨。歌の文句にSeptember rainは冷たいとあるが、
本当に冷たかった。
2017.09.03(日) アパート更新
アパートを更新した。
正確にいえば不動産、災害保険、保証代行の更新料をコンビニで支払った。
そろそろ退去して実家で母親と同居するかどうか頭を過ることはあったが、
今、同居することが母子に最良であるとはどうしても思えない。
週末に実家に帰って、親父の顔を見に行くことが私には精一杯で、
それでも顔を合わせるとお互いに癇癪を起してしまう。
アパートに帰って一人になると申し訳ないとも思うし、反省もするのだが、
同居してしまえばその反省の機会すら失ってしまうだろう。
もともと外泊が続いたどさくさで家を出たのだ。
そろそろ20年近くになる。
2017.09.04(月) 親父の貯金通帳
さあ困った。親父の貯金通帳が見当たらない。
母親と息子が失くしたのはそっちだと押し付け合っている。
私は間違いなく実家にあると思っているのだが、
記帳のためにお前に預けたと母は譲らない。
実は「記帳するから預かる」といった覚えがあるのでこちらも弱い。
この母子はこの点がまったくだらしなく、お互い失くし物、忘れ物で詰り合う。
私はそれを遺伝であると開き直っているのだが。
2017.09.05(火) 戦争はやってはならないが
北朝鮮の地下核実験の規模の大きさが喧伝されているが、
金正恩が巨大なおもちゃに無邪気に嬉々としている表情が気持ち悪い。
叔父、実兄の粛清さえ厭わぬ自己顕示欲と独善が肥大した兇暴性。
この歪つなお坊ちゃんは気分次第で何かをやらかすのかわかったものではない。
日本はこの先、延々と北の核の脅威と歪なやぼっちゃんに翻弄されていくのだろうか。
一方のドナルド・トランプ。この男に核のボタンが託されているのもどうなのか。
合衆国本土が核の射程範囲に入ったと断定した時に、この大統領はどう動くのか。
いつまでもアジアの小国に右往左往され続けることに辛抱できるものかどうか。
アメリカの保守勢力にしてみれば、北朝鮮など潰してしまえとなるだろうが、
米朝が開戦したらソウルのみならず、日本も甚大な惨禍に見舞われるのは明白で、
戦後、長々とアメリカに自国の命運を預けすぎたツケを払わされることになる。
そうなった時、我が国にも核を持たなかった後悔が芽生えるのだろうか。
絶対、戦争になってはならないが。
2017.09.06(水) 名君と暴君
ロヒンギャなる民族がミャンマーにあることを初めて知る。
そもそもミャンマー自体をビルマ?セイロン?と混同している始末だ。
調べてみるとミャンマーには多くの民族で構成させる多民族国家であり、
ロヒンギャそのものが民族なのか、政治団体、宗教集団なのか判別していないという。
そのロヒンギャがミャンマー国家から弾圧され、多くの難民が溢れているという。
ミャンマーといえば事実上の指導者はアウンサンスーチーではないか。
アジアのジャンヌ・ダルクとして歴史に名を残すであろう“スーパー女史”。
あれほど国際世論を味方にした女史が、今、国際世論から猛烈に非難されている。
確かにノーベル平和賞と少数民族の弾圧。まったく矛盾している。
源頼朝を幼少の本懐を遂げた執念の人と見るか、弟・義経を惨殺した非道の人と見るか。
太閤秀吉を立身出世の人ととるか、朝鮮征伐を断行した暴君ととるか。
歴史上の人物は常に二律背反を背負う宿命にあり、名君と暴君は紙一重だ。
スーチー女史もその宿命の中で生きているということか。
いや、そう一概にはいえまい。
ロヒンギャが国家転覆を目的とした集団であるならば、
国家安全を託された指導者としては毅然とそれを排除しなければならない。
スーチー女史が国際社会にどう回答するのか、そこは注目していきたい。
2017.09.07(木) 羽田と満願とステーキハウス・リベラと
羽田空港のモスバーガーでひと時を過ごし、そのまま環七を北に下る。
杉並の界隈を高円寺から阿佐ヶ谷、荻窪と久々に寺社をめぐった。
これでようやく文殊院で御府内八十八ヶ所を、東圓寺で江戸三十三ヶ所を満願。
どちらの巡礼ものんびりと四年も要してしまった。
夜に、職場で後輩たちを拾って目黒のステーキ屋へ。
「ステーキハウス リベラ」。この店にはプロレス帰りによく寄ったものだ。
多くのプロレスラーたちが来店し、彼らの来店記念写真が飾られている。
プロレスファンなら知る人ぞ知る店なのだが、訪れたのは20年ぶりくらいか。
こうしてパネルを見ていると、もう鬼籍に入ったレスラーも少なくない。
あの頃、腹をたっぷり満たしてくれた大判のステーキも、
今はぺろりと平らげて、むしろ物足りないくらいなのは我ながら恐ろしい。
2017.09.08(火)・:*:・゜☆祝!鳥谷2000本安打!!。・:*・・゜☆
鳥谷敬が2000本安打を達成した。
現役13年目。もうそんなに経つのかと思うが、2000本も打っていたのかとも思う。
そう、目立つタイトルもなく、いつの間にかチームになくてはならない存在となり、
いつの間にか年俸4億を稼ぐ選手となり、いつの間にか2000本を打っていた。
打率.270以上を10年。遊撃手の激務をこなしながら金本の記録を抜く連続試合出場。
無事これ名馬ではないが、毎年のように600打席以上での記録は賞賛に値する。
それでも正直いまだにピンと来ないこないのは何故だろう。
自由枠で入団し、開幕同時にレギュラーの特別扱いの記憶が未だに根強いのではないか。
鳥谷にレギュラーを奪われたのが、前年に3割を達成した明石の居酒屋の息子で、
幾多の苦境の中から這いあがってきた愛されキャラの藤本敦士。
それが早大出のエリートの東京者があっさりレギュラーをかっさらったのだから、
当時、関西の虎党たちの鳥谷のバッシングは相当なものだった。
あれに堪えない筈はないのだが、それでも傍から見る鳥谷は常に冷静でマイペース。
淡々と仕事をこなし、いずれメジャーに行くだろうと思われていた時間が何年か続く。
そういえば私が球場で観る限りも、今日は鳥谷で勝ったという試合は思い浮かばない。
以前、ここで鳥谷のホームランの美しさを称えたことはあったが、
それ以上に印象に残らない試合が多く、守備と選球眼の人とのイメージだった。
もっと目立て、もっと燃えろ、先頭に立ってチームを鼓舞し、勝利へ導け。
それでも井端に代わってリーグを代表する遊撃手となり、2年続けて3割を超えた。
メジャー行きを断念し、FA宣言後に破格の大型契約を結ぶ。虎党は安堵した。
ところが去年は酷いスランプに陥る。
金本の目指す鳥谷像との齟齬もあったのだろう。
ある一定の方向が見えなくなりショートの地位も追われる。原因はストレスだった。
ようやく冷静な男の裏側の感情を見た気がした。
そして今年、我々はこの男の凄味に触れることになる。
顔面に死球を受けて鼻骨骨折。それでも休まずに金本に出場を直訴した。
そして何よりも顔面死球の恐怖にも腰を引かず、踏み込んでいく。
我々が鳥谷の淡々と仕事をこなしていく姿を揶揄していた間にも、
徹底した鍛錬と自己管理を行い、鋼の肉体と精神力を手に入れていたわけだ。
2000本の偉業を達成しても、相変わらず面白味のないコメントに終始しているが、
今は地味ながら飾らない男の真骨頂を見続けてきた幸運を思う。
2017.09.09(土) 躓き2態
前原誠司が枝野幸男を破って党首選で勝利したのはよかったと思っている。
そもそも選挙に勝つため共産党と組むなど、まるで話にならない。
私は以前、自民は防衛大臣に前原誠司を一本釣りしてはどうかと思ったことがある。
党首としては新鮮味はないものの、民進の中では一定の評価をしてきたつもりだ。
その前原が党人事でいきなりつまづいた。
まあ山尾志桜里のスキャンダルをここで書いても仕方ないが、
幹事長ポストを内定していた前原民進党が、船出からズッコケたのは間違いないだろう。
その対岸でつまづいたのが輝く我が謎、阪神タイガースだ。
優勝への唯一の望みを託した広島カープ三連戦で3つもっていかれた。
それも連夜のサヨナラを含む逆転負けばかり。あまりに強烈なダメージだった。
鯉が強すぎるのか、虎が弱すぎるのか。
必要以上にマツダスタジアムを喜ばせただけの三連戦だった。
2017.09.10(日) 『イップ・マン』三部作一気!
高田馬場、池袋と映画館をハシゴして5本観る。・・・・学生時代かよ。
朝から早稲田松竹でドニ―・イェン主演の『イップ・マン』三部作一挙上映を観て、
夜遅い時間まで新文芸坐の大林宣彦「新・尾道」シリーズの2本を観る。
学生の頃と比べるべくもなくオジサンにはかなりハードだったが、
映画の楽しさ、映画館通いの楽しさに大満足の日曜日だった。
新文芸坐の「大林宣彦映画祭2017」は次の機会に書くとして、
朝から映画館前に並んで観た『イップ・マン』三部作について。
主人公の葉問(イップ・マン)は詠春拳の達人だ。
中国拳法の達人でまず頭に浮かぶのが黄飛鴻。葉問のことは知らなかった。
しかし詠春拳の達人と聞けばピンとくる。あのブルース・リーの師匠のことか。
最後に少年時代のこまっしゃくれた李小龍が登場するのは愛嬌としても、
映画はひたすらドニーによる男騒ぎ満点のカンフーアクションが展開する。
一作目が素晴らしい。日本軍統治下という歴史的背景の中で時代がうねっている。
ある種『覇王別姫』のカンフー版のような趣きで見応え十分だった。
このドニ―を思うと『ローグ・ワン』は色モノとして扱われていたように見える。
『スター・ウォーズ』にドニー・イェンを出したことは失敗だったのではないか。
所詮、西洋人の東洋風チャンバラの振付けにホンモノを投じてしまったのだ。
一介の戦士を演じても、どんな歴代ジェダイよりも明らかに強い。強すぎる。
今、あの映画を思い出してもドニー・イェンしか思い出せないではないか。
そんな色モノよりも本家本元の主演映画の方がどれだけ素晴らしいことか。
確か蹴りを入れられたのが一回だけ。葉問の部類の強さは徹底していた。
最後は日本軍隊長である空手の達人と闘うが、完膚なきまでに叩き潰してしまう。
あまりの圧倒ぶりに国辱だとも思わない。ここまで強いと感心するしかない。
正直言うと二作目以降は歴史劇としての醍醐味はなくなり、
単なるヒーローものとして、お久しぶりのサモ・ハンとの激闘などを楽しんだのだが、
『イップ・マン/序章』に限っては本当に唸りながら観た。
2017.09.11(月) 小田急線が燃えているぞ
昨日、映画館を移動している時、帰りのロマンスカーに予約を入れようとしところ、
ロマンスカーが運転見合わせということで予約が出来なかった。
今朝、ニュースを見て驚いた。「小田急線の天井が燃えている・・・!」
そもそも車両の天井があんな見事に燃えるものなのかと、
改めてホームから背伸びをして小田急車両の天井を眺めてしまった。
それにしても沿線火事で警官が非常停止ボタンを押してしまい、
車両が火災現場に横づけになるとは、あまりにお粗末ではないか。
コンピューター制御による安全装置が裏目に出たということだろうが、
炎の中を線路に脱出した乗客こそたまったものではない。
コンピューター制御もいいが、電鉄と警察、消防の連携がバラバラだった。
三者による「想定」と「共有」。これを教訓に肝に命じてもらいたい。
2017.09.12(火) 10秒の壁
今は50mでも10秒切れそうもない私が語ることではないのだが。
考えてみれば全世界中のスポーツ競技のうちで、
一切の不純物や諸々の条件を削ぎ、ひたすら個に純化させた究極が、
男子100メートル走なのかもしれない。
耳慣れた「10秒の壁」という言葉。
たった1/100秒の壁に何人ものアスリートが挑んでは散っていった。
先日、10秒の壁を破った桐生祥秀選手の偉業にまつわる話で印象に残ったのが、
昭和10年に10秒3の世界タイを記録した吉岡隆徳氏の話だった。
「今の若い連中は、栄養といい、グラウンドといい、スパイクといい、何から何まで恵まれているのに、なぜ記録が出せないのだろう」
吉岡氏が最晩年にこんなコメントを残したという。
昭和10年といえば今から82年前のこと。
10秒がそれだけ分厚い壁であり、日本人アスリートの行く手を阻んできたわけだ。
などと桐生の記録に周囲は沸き返りながらも、確実に安堵の空気も流れていた。
10秒は壁ではなく、呪縛だったのか。
今、短距離界は黄金期を迎え、ようやくスタートを切ったのだろう。
50mでも10秒切れそうもない私が語ることではないのだが。
2017.09.13(水) あぁ・・・掛布雅之が縦じまを脱ぐか
星野仙一が監督に就任した2002年。何とも違和感で一杯だったが、
田淵幸一の縦じま姿にそんなチンケな違和感など吹っ飛んだものだ。
そして去年。背番号「31」と「6」が肩を並べたツーショットには本当に心が躍った。
二軍監督だろうが、鳴尾浜だろうが掛布雅之がタイガースに帰ってきたのだ。
個人的には金本の監督就任以上に縦じまの掛布が帰ってきたことが嬉しかった。
掛布退任の報道が飛び込んできた。
表向きの理由は組織の若返りを図るのだというが、
掛布自ら身を引いたのではなく、傍から見ても解任だったのは明白。
しかも追いかけるように金本との方針のギャップが報じられる。
もともと掛布の「31」の縦じま姿を演出したのが金本だ。
その金本が本当に掛布を切ったのか・・・。ならばこんなにやるせないことはない。
2017.09.14(木) マイナンバーつき住民票申請
午前休をもらい、母親と区役所に行く。
親の年金支給の更新の手続きをやるためだ。
今年からその書類にマイナンバーを記載しなければならない。
それで両親のマイナンバーカードを申請していたのだが、
直接本人が受取ることがカード支給の条件らしい。
ちょっと待ってもらいたい。
窓口に行けない親父のために顔写真付きの証明書を申請したのだ。
それが直接役所に来いとはどういうことだ。
そのことを訊ねると、役所の駐車場まで来てくれたら職員が行くという。
いやいや、それが困難だからカードを申請しているのだ。
そもそも役所の要請でカードが必要なのだ。こんな本末転倒な話があるか。
なんでもマイナンバー付き住民票があるので、番号だけなら確認できるという。
住民票がそういうことになっているのは初めて知った。
親父の預金を簡単に動かせないのは、こういう時代なのでわからんでもないが、
マイナンバーカードの受取りも出来ないことになっているとは思わなかった。
2017.09.15(金) マツダスタジアムの一喜一憂
広島カープ、地元広島での胴上げならずの夜だった。
カープがDeNAに勝ち、タイガースが巨人に負けるとカープの2連覇が決まるが、
先に勝利を決めたカープとマツダスタジアムが甲子園の結果待ちとなり、
ビジョンに映された阪神-巨人戦に超満員のスタンドが一喜一憂する光景となった。
2003年のタイガース優勝の時も甲子園でのヤクルト-横浜の結果待ちとなったが、
理想としてはアウトをとって歓喜の瞬間を迎えるのが一番に決まっているものの、
ベンチの選手たちと一体感を共有するのもファンとしては楽しいかもしれない。
甲子園は7回終了まで2-0でタイガースがリード。
鯉ファンも「今日は胴上げなしかな」と思っていただろうが、土壇場で同点となる。
私は広島戦の中継を観ていたのだが、
同点となった瞬間にスタンドが騒然となり、巨人の応援一色となる。
しかし同点止まりで延長となった瞬間、「あ~」と溜息。
昔はラジオのイヤホンで他球場の経過を聞いていたのだろうが、
今はスマホでかなりの人数が同時に情報を得る。
仙台育英が大阪桐蔭を破った時、スタンドがざわついて則本が投球動作に入れなかった。
こういうのもある意味、情報化社会というものだろうか。
2017.09.16(土) 大相撲九月場所6日目~両国国技館
なんと天皇陛下をお迎えする貴賓席の真隣の席だった。
国技館には百回近く通ったが、ここまでの良席は初めてだ。
職場の先輩が出羽の海部屋のコネを使って手に入れてくれた。
8500円は安くはないが、これはさぞテンション上がるぞと思いきや、
十両から中入りの取り組結果の電光板が実にもの寂しい。
休場の枠に白鵬、稀勢の里、鶴龍、高安、照ノ富士、由良。
何と3横綱2大関に人気の由良が休場。これは酷すぎやしないか。
嵐のコンサートに行ったらメンバーがダウンして相葉くん一人みたいなもの。
おかげでお楽しみの300円ちゃんこもやや塩辛く感じた。
それでも「満員御礼」の幕が下がった大相撲秋葉所。
相変わらずのプラチナチケットではある。
まぁとびきりの席ゆえにそれなりに相撲観戦を楽しんだが、
中入り後の各力士土俵入りのしんがりが御嶽海というのがなんとも・・・・。
次の国技館では幕内勢揃いと願いたいものだ。
2017.09.17(日) 大林宣彦映画祭を終えて
3年前、目黒で大林宣彦の最新作2本を観て、
そのあまりに奔放で自由な映像世界に驚かされたものだった。
その大林宣彦。肺がんで余命半年を宣告されている。
しかし投薬を続けながら新作映画をクランクアップさせたと聞く。
過酷な現実を背負いながら、80歳をしてまだ旺盛な創作力は衰えていない。
私が映画にのめり込むのと、大林の映画監督としてのキャリアはほぼ並行している。
それでも大林映画を観なかった時間が26年間もあった。
今回の新文芸坐での「大林宣彦映画祭2017」でその穴の一部を埋めたのだが、
最初の『青春デンデケデケデケ』がいきなりハマり、
『理由』『あした』『ふたり』と観た映画のすべてが良かった。
たまたまだが、今年の初めに尾道を訪れたのも幸運だった。
そして満を持しての『転校生』。マイフェイバリットムービーのひとつだ。
一夫と一美のひと夏の物語。しかし最後に観てから30年以上経つ。
マイフェイバリットムービーのひとつなどといったが、
私はこの作品をモノクロ映画として記憶していた。
多分、導入部とエンディングの8mm映像のせいだろう。
そこで流れる「トロイメライ」「タイスの瞑想曲」「アンダンテカンタービレ」
もう敢然無欠なノスタルジア。記憶の中でモノクロームに染まっていたのだろうか。
今観ると随分と幼い表現や台詞も目立つ。そのたびに正直ヒヤヒヤもした。
しかしある意味で私の中で揺るぎない絶対映画に至っていなかったことで、
まだまだ運動体として『転校生』が息づいている存在だったことも嬉しく思う。
そう、まだまだ『転校生』はモノクロームなノスタルジアに落ち着いていない。
2017.09.18(月)広島カープ連覇!甲子園で決められた
先日の巨人戦。土壇場で追いつかれたばっかりに甲子園で決められた。
真っ赤に染まった異形の甲子園。でも目の前での胴上げはよかったと思っている。
このカープが歓喜する姿をタイガースナインがどう目に焼き付けて、
何が脳裏に焼きつき、何が胸に去来したのかが、実に重要である気がする。
とにもかくにも広島カープおめでとう。
去年は前田健太を失って優勝し、今年は黒田博樹が去って優勝した。
四番打者がいなくてもすぐに底上げしてくる潜在力。御見逸れしました。
2017.09.19(火)安藤が去り、狩野が去る
この時期は引退会見が相次ぐ。
激烈なCS争いが華々しい中で、ひっそりと縦じまを脱ぐ彼ら。
もちろん毎年選手が入れ替るのは当り前の話で、
引退会見をセッティングしてもらえる選手は幸せなのかもしれない。
安藤優也。彼のマウンド姿を何度観たことだろう。
忘れられないのが甲子園で観戦した、一発に泣いた完投負けの試合。
あの時は私が生まれて初めてサヨナラ勝ちを拝める千載一遇のチャンスだった。
あんな土壇場で一発食らうとはなぁ。
しかし井川慶が登場するまで右のローテの柱としてチームを支え、
セットアッパー、クローザーに転向して見事、優勝に導いた。
一方、狩野恵輔。誰もが思い出す、巨人戦での初安打がサヨナラとなった場面。
まさに感動の瞬間。あれは観ていて泣きそうになった。
今でもスカッとしたいときの私のYouTubeの定番だ。
その翌日にはホームランもかっ飛ばし「すわっ救世主出現」と思ったものだが、
いかんせん怪我に泣かされた。でも一昨年、昨年は代打の切り札として活躍した。
安藤15年、狩野17年。ふたりとも本当によく頑張った。
お疲れさん、ありがとう。
2017.09.20(水)台風18号が夜中に
雷鳴と稲光にもの凄い強風。まさに嵐の一夜だった。
そんな折でもニコチン中毒者はコンビニに行く。
腹が減っても朝まで我慢はするが、タバコが切れたらまず待てない。
もうずぶ濡れになってもいいやという格好に着替え、ずぶ濡れとなる。
傘などまるで役に立たない。殆んどすべての自転車がなぎ倒されている。
朝は台風一過。透き通るような青空の下、つくつくぼうしやミンミン蝉の大合唱だ。
あの嵐の中で飛ばされず葉っぱの陰で木にしがみついていたか。
勝利の雄叫びではないが、ずいぶんと誇らしげに鳴いていた。
2017.09.21(木)安部徹の主演映画
高倉健が菅原文太が、安藤昇、松方弘樹、渡瀬恒彦が次々と亡くなる中で、
必然的に名画座で任侠、ヤクザ映画を追体験する機会を得たわけだが、
その一連の映画で殊更に愛しくも懐かしい存在だったのが悪役たちだ。
安部徹、天津敏、河津清三郎、神田隆、遠藤太津夫、須賀不二男etc…。
彼らは主演スターの向こうに張る準主役のポジョンにいて、
テレビサイズに収まらないスケールの悪役を演じてきた。
単なる“斬られ役”ではない。
鶴田、高倉、純子、文太らを相手に、観客の憎悪を一身に浴びるワル親分たちだ。
彼らがワルの親分を憎々しく演じれば演じるほど、花田秀次郎や緋牡丹お竜が映える。
それがごくたまに善玉やコミカルな役で出てくると妙に嬉しくなったりもするのは、
今でいう“ギャップ萌え”という奴か。
しかし愛すべき彼らは全員知らないうちに鬼籍に入っていた。
僅かなベタ記事で訃報が伝えられ見逃していたのだろうと思う。
今夜は渋谷のシネマヴェーラで安部徹主演の『深夜の市長』を観た。
昭和22年の製作で監督は何と川島雄三だった。
まず安部徹だけは善玉役などやったことはないと思っていた。
ところが主役。あの怖い顔で「僕たちは今度いつ逢えるの?」と囁くものだから、
終戦直後の人材不足が生んだファンタジーとしても座席からすり落ちそうになった。
その安部徹と協力して悪に立ち向かうのが神田隆。
幾多の映画で悪の限りを尽くしたふたりが正義の鉄槌を振るう。
正直言うと安部徹の善玉演技はぎこちない。硬質し過ぎて窮屈で仕方がない。
悪の権化をやっている時の憎々しさの開放感がまったくなかったが、
何だか暖かく見守ろうという気持ちになっていた。
たまにはこういう珍しい映画も楽しい。
2017.09.22(金)映画『ダンケルク』と『エイリアン:コヴェナント』
仕事帰りに映画を連日ポイント観賞で観たので、まとめて書く。
それにしてもバジェットの高い映画をタダで観ていいのだろうか。ま、いいか。
残念ながらノーランの映画は単館公開された『メメント』しか観ていない。
その間、周囲が『ダークナイト』を熱く語るのを傍で何度か聞かされてきた。
だから“バットマン三部作”についてはじっと劇場で観られるチャンスを待つ。
観なかった後悔より、DVDで観てしまった後悔の方が大きい。これは経験則だ。
さて『ダンケルク』。第二次世界大戦の「ダンケルク撤退」を描く超大作だ。
撤退戦を正面から描いているので、カタルシスを得てスカッとする映画でない。
観ている間、オリバー・ストーン『ブラトーン』に似ていると感じていた。
ドラマの縦糸も横糸もなく、ただ戦闘そのものを投げ出して行く。
ダンケルクの砂浜で何万という兵士が行列を作って帰還船を待つ。
そこにドイツ軍が容赦なく空爆を開始する。その場面に度肝を抜かれる。
英軍、仏軍がただ木っ端微塵にされるのは、敗残兵の宿命であり、
あたかも兵士たち自身もその宿命を受け入れているように見えるのは衝撃だった。
イワシの大群がクジラに呑まれるのを見越して、海中を旋回する姿を起想する。
こういう状況に置かれた兵士は、生き延びればラッキーと思う程度なら生き残れない。
はっきりと生きるのだという強い意志と行動のみが生還を許されるのだ。
戦場となっている仏軍に対し、ドーバー海峡の向こうに故郷がある英軍は、
同じ連合軍でも、故郷に帰還するのだというモチベーションが高かったのかも知れない。
ただ、どんな戦争映画でも空軍のヒコーキ野郎は英雄的に描かれる。
いやどうしても英雄的に見えてしまう。
彼らは地上が流血の地獄であっても、大空を舞う自由さに満ちているのだ。
続いてリドリー・スコット監督作品『エイリアン:コヴェナント』。
そういえばもうすぐ『ブレードランナー』の続編も公開される。
『ブレードランナー』の方はリドリーはプロデューサーに専念するようだ。
あれ?この監督、もうすぐ80歳になるのか。
ということでリドリーが38年ぶりに『エイリアン』に帰ってきた。
とにかく1979年に観た『エイリアン』のイメージは強烈だった。
宇宙空間に浮かぶ宇宙船という超閉鎖空間に怪物が侵入する恐怖。
人の体内で成長し、無感情にただひたすら人を捕食するおぞましさ。
さらに故H・R・ギーガーによる造形美。何から何まで革新に満ちていた。
エイリアンは獰猛に捕食することだけに猛進する怪物。
それ以外の存在理由を必要としないから素晴らしかったのだと思う。
これが『プロメテウス』からの流れで、エイリアンにアイデンティが生まれた。
この怪物に種の根源やら、ストーリーのサーガなど余計な装飾は必要なのだろうか。
私は「あそことあそこが繋がって」と考えさせる映画が好きではない。
シンプルに捕食に狂った化け物と逃げ惑う人間とのバトルで十分だ。
『エイリアン:コヴェナント』で一番魅力的だったのはショックシーンだ。
それ以外の妙なルーツ探しのくだりがまったく蛇足に思えた。
これ以上、エイリアンに意味など持たせるな。もはや俗化する一方だ。
2017.09.23(土) そつなく盤石・完勝~神宮球場
「タイガースファンの皆さんは今年最後の神宮。一緒に盛りあがってまいりましょう!」
球場を目前にした並木通りでパトリック・ユーのDJが耳に入る。
“Go!Go!Swallows!”いつもの雄叫び。この人も10年近く勤めているのではないか。
とにもかくにも残り10試合の胸突き八丁。2位確保のための闘いが始まる。
数字的には楽でも、コケたら大ごとだ。まずヤクルト相手に取りこぼせない。
先発は小野と由規。小野のピッチングは初LIVEだ。
結果的は四番抜擢のロジャースのホームランを含み、長短打を集めて8-1の完勝。
割とソツなく神宮最終戦を勝ち切った試合だった。
ただ小野の調子は今ひとつ。制球が定まっていなかった。
五回終了で6四球、早くも球数が100球を超える。しかし要所は締めて失点ゼロ。
圧巻は3四球二死満塁の絶対絶命のピンチで、坂口を三球三振に仕留めた場面。
このルーキーは7連敗後に結果がついてきた。やはり精神的なものだろうか。
一方、由規も150キロをコンスタントに出し復活を思わせるも、同じく制球難。
ツーアウトから四球を出して、その後にロジャースの一発を食らう。
ここでも私が気になっている「二死からの四球」の罠に絡めとられたか。
とにもかくにも小野は五回でマウンドを降りたので、残りを繋がなければならない。
そこで出てきた岩崎-高橋-石崎-藤川の盤石リレーで見事完勝。
桑原、マテオ、ドリスを使わなくても最終回まで辿りつけるのだ。
この中継ぎの充実は最大の武器で、かつての落合中日に匹敵するのではないか。
とにもかくにも優勝は逃した。これからDeNA、巨人との連戦も控えている。
相手はCS進出を目指して全力で来るだろう。
守る虎はまだまだ安全圏にはいない。
2017.09.24(日) 日馬富士、千秋楽逆転優勝
「これより三役」の土俵に小結があがる。
3横綱2大関休場という異常事態で迎えた秋場所千秋楽。
一時は豪栄道に星3つも開けられていた日馬富士が本割、決定戦と連勝。
唯一の横綱が千秋楽を大いに盛り上げ、その責任を果たしたという結果か。
それにしても土壇場での日馬富士の集中力は凄かった。
2番とも立ち合いで低く当り、豪栄道の上体を浮かせて一気に勝負を決める。
その気迫たるやテレビ画面でも十二分に伝わった。
一方、独走態勢に入り、金曜日にも優勝を決めるかといわれた豪栄道。
去年の秋場所のヒーローが終盤戦で黒星を重ねたのはどうしたものだろう。
横綱の責任といわれるが、大関の責任も軽くはなかったはずだ。
今場所の豪栄道の目標がとりあえずカド番脱出だったわけでもなかろうに。
とにもかくにも日馬さまさまの平成29年九月場所だった。
2017.09.25(月) いや、なかなか日本映画も面白い
9月に入り『三度目の殺人』と『散歩する侵略者』を観て、
今日は『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』を観た。
どれも面白かった。このところ藤田敏八と大林宣彦の過去の映画を観ながら、
今の日本映画の有り様を嘆いていたのだが、嘆き節も慎まなければならない。
確かに今の青春映画はやたら「部活映画」ばかりが並ぶ。
私には時代を映すのは若者映画だとの確固たる思いがあるが、
製作委員会制度が恒常化されれば、マーケッティング重視となるのは宿命なのか。
是枝裕和『三度目の殺人』は司法の虚妄性にメスを入れながら、
被告人・三隅、弁護士・重盛、被害者の娘・咲江の三者三様の人物に迫っていく。
拘置所のアクリル板を挟んだ面会室で対峙する三隅と重盛。
被告の供述が二転三転するうち「真実」そのものもぐらついていく。
それでも裁判官、検察、弁護人は司法という同じ船に乗っていて、
一定の期限内に目的地に辿り着くことだけを目的とした乗組員だ。
「裁き」が目的となるとき「真実」はかくも脆弱なものだと問う。
是枝もなかなか硬質な映画を撮ったものだ。
ただ役所広司の過剰さをもう少し制御出来たら良かったのだが。
黒沢清『散歩する侵略者』は異性物による地球侵略を描いたSF映画。
思えば黒沢清作品を最初に観たのは、立教大学の映画サークルで撮った8mmだった。
などと、ここでパロディアスユニティの話を始めても仕方ない。
異星人は地球人の日々の生活の概念から奪っていく。
「自分」「他人」「仕事」「家族」そして「愛」。
概念とは呪縛のことなのかと思ってしまう。多分、そういうことなのだろう。
夫の心を奪われた妻、事件に巻き込まれたジャーナリスト。
彼らはその呪縛を守るために戦う。
舞台劇だそうだが、確かに演劇的に閉じた空間を感じさせる映画でもあり、
一方で黒沢清のイマジネーションが暴走して拡がっていくのも感じさせた。
大根仁『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』。
とにかく共感させる映画。ギョーカイのあるあるネタで笑わせながら、
気紛れな悪魔に果敢に挑む男たち。
突然、恋に落ちて、突然、恋人が出来た時の主人公のはしゃぎようが最高。
原始、男はおバカなのだ。
雑誌編集長がサイコの本性を現す件がやや気になったものの、
もしかしたら個人的に今年のベストワンになってしまうかもしれない。
2017.09.26(火) 突然の衆議院解散
敵前逃亡解散だの、私利私欲解散だのと色々いわれているが、
衆議院が解散する時はいちいち解散に名前をつけなければならないのか。
バカヤロー解散とかコンチクショー解散とか、郵政民営解散だとか。
最後の「バンザイ!」もそうだが、よくわからないことではある。
安倍晋三自身は「国難突破解散だ」と鼻息が荒い。
とにかく解散となると議員たちは選挙一色となる。
国政も国際関係も国民もあったものではない。マスコミも然りだ。
北朝鮮情勢が切迫する中で、政治空白を作るつもりかと野党は叫ぶが、
この間まで安倍政権を解散に追い込むと息巻いていなかったか?
まして民進も共産も北朝鮮情勢にそれほど熱心だったとは思えない。
大義名分がないというなら、ズバリ憲法9条改正を国民に問う。ではダメなのか。
加計、森友隠しや、野党がバタバタしている隙を狙ったといわれるよりマシだろう。
ところが安倍晋三も「消費税の使い道を問う」などと言い出している。
いい加減に経済や増税を隠れ蓑とせず、堂々とやればいいものを。
2017.09.27(水) 痛み分け
負け試合を追いついたのだから良しとするか、
何で最後に勝ち切れなかったのかと悔いを残すか、
そのどちらの気分でもある。
巨人にはどうしてもCSに上がって欲しくない。
そのためならDeNAに負けてもいいやぐらいに思っていたが、
そこまでの余裕を失くしているタイガース。
「痛み分け」とはよくいったもので、巨人が半歩迫ってきた。
今、その痛みに容赦なく雨が落ちているが、
明日の夜には雨は上がっている予定。
さあて、明日の浜スタでは何が待つのか?
とりあえず仕事カバンに黄色のラメジャンとラッキーちゃんバットをしのばせるなり。
2017.09.28(木) 雨の浜スタ場外で大ボケ
朝から豪雨。夜には止むと聞いていたが、なかなか止まない。
さぁ困った。今夜は浜スタのCSを賭けた大一番に参戦予定。
仕事カバンに黄色のラメジャンとラッキーちゃんバットをしのばせたものの、
合羽は持ってこなかった。もう若くないので雨の中の観戦はキツい。
浜スタのスタンドには一切の屋根がない。むしろ中止にしてほしい。
いや日程が詰まっているので無理をしてでも決行するか。仕方ねぇな。
夜の7時過ぎに球場到着。場外のモニターにタイガースの猛攻が映し出されている。
いきなり5-0。どうやら今夜の井納にいつもの精彩がないようだ。
で、もって球場に入ろうと入り口でチケットを係員に見せたら、
「それ29日ですから明日ですよ」だと。
・・・・やってもうた。大ボケ。
日付を間違えた。というより完全に勘違い。当日券で入ろうかとも思ったが既に7-0。
外野は売り切れ、今から3100円の内野席を買うのか?いやいや買わない。しかも雨。
傘差しながら場外モニターで観ても締まらんので、とっとと関内駅に引き揚げた。
因みに今夜の大勝でCS進出決定。明日の勝利で2位が確定する。
仕事カバンに黄色のラメジャンとラッキーちゃんバットはそのままと。
2017.09.29(金) モチベーションの差?流れの差?~横浜スタジアム
毎回の11安打を放つも打線が繋がらない。
2得点も高山のソロホームランと内野ゴロの間の1点だった。
概してこういう試合はストレスが溜まる。
点が入らずイライラするうちに相手に流れが行ってしまう。
「流れ」とは雲を掴むような話でいて、理屈で説明できるもののようにも思う。
サッカーやバスケットボールのように攻守入り乱れる競技は、
「流れ」というより「優劣」あるいは「衰勢」の展開がわかりやすいが、
3つのアウト毎に攻守が区分される野球は、心理的な機微が「流れ」を生む。
今夜の試合で2人目に登板した岩崎がその「流れ」に呑まれたか。
筒香に2ランを打たれたのは仕方がない。そういう役割を担った大砲だ。
しかしその後の追加点となるヒットはすべて芯を食った当たりではなかった。
嫌な言葉を敢えて使うと、この試合の「戦犯」は岩崎ということになるが、
イニング跨ぎで3点を献上したものの、アウトはすべて三振。ボールは来ていた。
筒香に一発打たれたことの力みが、微妙な制球を狂わせて不運な当りを生んだか。
例えば、打ち取った当りを味方野手のエラーで出塁させてしまったとする。
投手としては「勘弁してくれ!」もあるし、「ミスを消してやろう」もあるだろう。
しかしどちらにしても普段と違う力みが生じるのは想像に難くない。
「あのエラーで流れが変わった」となるのはそういうことだ。
ピンチを好守で切り抜ける。逆にチャンスを好守に阻まれる。
そこで生まれるリズム、消されるリズム。相反する心理ギャップが「流れ」となる。
そしてその「流れ」を際立たせるのにスタンドの雰囲気が大いに一役買う。
潮目の変化に敏感な観客の反応ひとつで球場の空気は一変するのだ。
実際、レフトスタンドにもベイファンのエリアが設けられた横浜スタジアム。
おそらく球場の7割近くがベイファンで埋まっていたと思うが、
巨人との熾烈なCS争いの渦中にある彼らのモチベーションと、
昨日、CS進出を決めた虎党とでは熱意が段違いだった。
さらに勝つことで巨人を援護するとなるとモチベーションも上がらない。
3塁側スタンド上段でベイファンに囲まれて観ていた私は、
彼らの一球ごとに込められる「念」に少なからず気圧されていた。
6割以上が虎党で埋まっていた数年前の浜スタとはまるで違う。
味方投手がボールを先行させれば激励の拍手が起こる。ベイファン、なんという健気。
甲子園なら下手したら溜息かブーイングが起こる場面だろう。
親会社がDeNAになってから、ベイファンは確実に求心的になった。
聞けば、この浜スタそのものもDeNAが買収したのだという。
TBS撤退時には新潟移転の話まであって、関東虎党を心配させたことを思うと、
DeNAはプロ野球のオーナー会社の鏡といえる。
さて個人的には浜スタ観戦9連勝が阻まれたことになる。
昨日、大ボケかまして場外で大勝してしまったので、嫌な予感はしていたのだ。
今朝、玄関を開けたら黒猫が横切ったのも何とも嫌な感じだった。
敗戦は気分悪いが、それでベイファンが喜んで、巨人ファンが舌打ちしたのなら良しだ。
・・・・まったく我々ははしょうもないファンだ。
2017.09.30(土) 巨人撃破、2位確保
まずは巨人を倒したのは喜ばしいこと。
これで2位確保。後は巨人を来季の選手名鑑の4番目のチームにするだけだ。
そもそも交流戦でセ・リーグを辱かしめた元凶がCSなどおこがましい話。
試合終了後、勢いで甲子園CSの先行抽選に応募してしまった。
ところが肝心の浜スタでもDeNAはカープに敗れてしまう。
おいおい、そんなところで打つなよ新井さん・・・。
ところで東京ドームの中継からチャンネルを浜スタに替えて驚いた。
レフトスタンド全部と3塁側が真っ赤に染まっているではないか。
明らかに浜スタでは阪神より広島の方が動員力で上回っている。
東京ドームや神宮でもそうなのだろう。
もはや「阪神ファンは日本一や~」なんてひと昔前の話か。
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