日めくり

  日めくり



2017.11.21(火) それにしても冷える

毎年、12月の半ばごろまでコートは羽織らぬ私であるが、
今年の晩秋はとりわけ身にこたえる。毎晩のように寒波が来ているのではないか。
今夜は仕事帰りにひとつ手前のつきみ野駅で下車し、
私が認定する“世界三大餃子”のひとつ、韮鉄餃子を食べたのだが、
腹ごなしにアパートまで歩こうかという20分程度を思わずためらってしまう。
結局、ショルダーをタスキ掛けに、両手をポケットに突っ込んで歩くことにしたが、
食熱も5分ほどで醒めると、いやはや寒かった。自然と背中が丸くなっていく。
母が「夏と冬どっちがいいのか。足元が冷えてたまんないけど、蚊はいないからねぇ」
などとまったく実のない戯言をつぶやいていたが、
この寒空で庭いじりが苦痛になっているのはわかる気がする。
今はザクザクと霜を踏む機会はなくなったが、これからさらに寒くなる一方だ。
そこより寒い場所なんて日本全国に幾らでもある。
なんてヤボはいいっこなしということで。


2017.11.20(月) 健康診断

今年の健康診断にはまったく自信が持てなかった。
明らかに去年より健康状態が悪い。
体重も増えた。腹まわりを見ればわかる。自分でも重い。
診断評価はA~Eで示され、治療中はFとなる。とにかくFが目立つ。
去年に続いて尿蛋白がまた出る。
血糖値も依然として糖尿病予備軍だ。空腹でこれなら満腹時は考えるだに恐ろしい。
今年もまた高血圧、高血糖、高脂血「三高」。
相変わらず肝機能も標準値を下回る。
このままじゃいかんと節制の誓いを立てるのではあるが、
後輩を誘って池袋で飲んでしまった。
と、この文章の8割を去年の「日めくり」をそのまま引用。
ああ情ないったらありゃしない。


2017.11.19(日) 母、86歳の誕生日

といっても母の誕生日に花を贈る孝行息子ではなく、
いつものように車で乗り込んで、母を乗せて親父の元へ。
親父も親父で耳元で「今日は11月19日」と母が大声で行っても無頓着で、
「だから何だ?」という顔をするばかり。
まぁ絵に描いたようなほのぼのとしたホームドラマの風景とはほど遠いものの、
こうして母の誕生日に短い時間を3人で過ごせたことに感謝すべきだろうか。


2017.11.18(土) 今、真相は藪の中

隠ぺいしている時間が長ければ長いほど、発覚後の傷跡が深くなる。
あらゆる事象で、問題が発生したらとっとと発表してしまうに限るのだろう。
横綱・日馬富士が同じモンゴル力士の貴ノ岩をビール瓶で殴打したとされる事件。
事件が発覚したのは場所後の2日目。それで相撲協会が揺れに揺れているのだが、
責任の所在が明らかではなく、対応が後手に回って収拾がつかなくなっている。
そもそも頭蓋底骨折と髄液漏れが全治二週間程度のことなのか。
何故、貴乃花は協会に報告せずに警察に被害届を出したのか。
多くの関係者や当事者の証言が悉く食い違い、憶測は憶測を呼び、まるで藪の中だ。
真相を知る者が黙っているのか、誰かが捻曲げているのか、誰かを庇っているのか。
横綱たる者の品格、改善されない角界の暴力体質など多くの問題が噴出しているが、
先ずは事件の筋道だけは明らかにしてもらいたいと、俄か好角家は思うのだ。


2017.11.17(金) 久々に職場泊

年末進行で毎度のことながら、この時期は仕事が立て込む。
忙しいのは結構なことだが、そうなると仕事の優先順位が一変する。
困るのが私個人に任されている仕事がなかなか手につかなくなること。
それはそれで期限が迫っているのだ。
熱海への職場旅行は春に延期したが、連日の残業に、休日出勤。
ただ残業は一昨日サボった。休日出勤は親のこともあり免除してもらっている。
にも関わらず、残業と休出の指示は私が出さなければならないのだ。
そんな引け目もあって、泊り込みで下命された仕事をこなすことにした。
誰もいないオフィスで仕事をすることには多くのメリットがある。
電話もメールもなく、誰からも助言を求められず、自分のペースで集中出来る。
そしてなにより、デスクでタバコが吸える(汗)。


2017.11.16(木) 大和が勝ち取った権利だから・・・

7月の「日めくり」に「ヤマト“使命”果たす」と題して大和のことを書いた。
その大和がFAを宣言し、オリックス、DeNAと交渉の席につくという。
もちろんタイガースも引き留めるための待遇を用意していると聞く。
チームに必要不可欠な選手、大和は絶対に引き留めるべきだろう。
あの華麗な守備と、30歳でスイッチ転向した器用さはなによりも捨て難い。
大和がFA宣言をすると噂された時点で「頼むから止めろ」。そう思っていた。
しかし彼が他球団の評価を聞いてみたいと思うのは当然のことだろう。
現実、大和が残留したとして、タイガースでの立ち位置はどうなのだろう。
相変わらずのスーパーサブ的な役割なのではないか。
スーパーサブといえば聞こえはいいが、悪くいえば便利屋だ。
期待された北條の不振、糸原の怪我がなければ今季もどうなっていたか。
その不遇も見てきただけに、レギュラーが見込まれる居場所があるのなら、、、。
他球団に流出ではなく、転出。そう思うのもありのような気がする。


2017.11.15(水) この秋はミステリー三昧

狙っていたつもりはないが、この秋、結果としてミステリー&サスペンス映画が続いた。
アルフレッド・ヒッチコックの『私は告白する』、『見知らぬ乗客』を皮切りに、
エド・マクベインを原作とする黒澤明の『天国と地獄』。
沼田まほかる原作の映画化『ユリゴゴロ』、『彼女がその名を知らない鳥たち』。
ボワロー&ナルスジャックの原作をヒッチコックと映画化権を争ったといわれる、
アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの『悪魔のような女』。
そのヒッチコックは同じ原作者で『めまい』を作り、それは昨年の暮れに再見。
『めまい』にオマージュを捧げたデ・パルマの『愛のメモリー』をようやく観て、
その脚本を書いたポール・シュレイダーが登場する『ヒッチコック/トリュフォー』。
これはヒッチコックに傾倒するトリュフォーのインタビュー収録本の映画化だが、
9月に観た『トリュフォーの思春期』では赤ん坊が転落するヒッチ・タッチが有名。
『ヒッチコック/トリュフォー』では黒沢清も出演してヒッチコックを語っているが、
その黒沢清のミステリータッチのSF『散歩する侵略者』もこの秋に観ている。
そして今夜『ダイヤルMを廻せ!』を観るとなると、ちょっとしたループではある。
その間、小学生以来のモーリス・ルブラン、コナン・ドイルを懐かしさ満点に再読し、
沼田まほかるのミステリーを堪能しているのだから、まさにミステリー三昧だ。
とりわけ『見知らぬ乗客』『ダイヤルMを廻せ!』、そして『悪魔のような女』は最高。
『見知らぬ乗客』のテニスの試合会場での映像表現の怖さは、
『断崖』の光るミルク、『裏窓』の襲撃、『鳥』の一気に増える群れと並ぶ名場面。
ちょっと視線を逸らせた隙をドラマがうねる『ダイヤルMを廻せ!』も名人芸だ。
ただヒッチコックが面白いのは想定内というか、ある意味、当然。
クルーゾーの『悪魔のような女』の展開と圧倒的演出力には本当に度肝を抜かれる。
やはり張り巡らされた謎が最後、一気に氷解する快感は何物にも替え難く、
観客をミスリードしていくテクニックは並みの才能ではなく、
これを観て嫉妬したヒッチコックが『めまい』『サイコ』を連発したともいわれている。
今も結末を知ったうえでもう一度見直したい欲求にかられているくらい。
デ・パルマの『愛のメモリー』を観るのは長年の宿題として引き出しに放り込んでいた。
ただ40年近くもしまっていたのは、いくらなんでもしまい過ぎだった。
原題は“Obsession(妄念)。それに『愛のメモリー』の邦題はダサいといわれていたが、
そこに新文芸坐が休憩時間に悪ノリで松崎しげるの歌を流したのには笑ってしまった。
最初の誘拐場面が『天国と地獄』を観た後ではあまりに稚拙でずっこけたが、
そこに全編にバーナード・ハーマンの音楽が鳴り響くとなると、
これではオマージュというより、まるでコンプレックスではないかと思った。
そんなこんなで秋の夜長は映画、小説とミステリーとサスペンスを堪能したのだが、
そうなると期待したいしたいのは年末に公開される『オリエント急行殺人事件』。
これは吹替えで見ようかと思っている。ポワロの声が草刈正男?うーん・・・・。


2017.11.14(火) 夜更かし、もはや性(さが)

30代から十年余り昼夜逆転の生活をやっていた。
深夜の2時にラーメン屋に出掛けたり、夜中に待ち合わせて朝まで飲んだり。
そんなドラキュラ生活の日々がまだ身体から抜けていないのかもしれない。
時計の針が23時を過ぎたあたりで突然走り出す。
ふと気がつくと2時、3時になって「やべっ」となる。
少なくとも日中の11時から15時と同じ速さで時計は回っていないぞ、絶対。
昔と違うのは今が朝6時起床の生活だということ。
この職場はどうも早く出勤した奴は偉いというアホな風潮がある。
始業3時間前に出勤する猛者もいて、非常に迷惑だ。


2017.11.13(月) ジーナ・ローランズが健気に見えた

昨日の午前十時に映画『グロリア』を観る。
36年ぶりにジーナ・ローランズ姐御と再会した。
ローレン・バコールと並び、出てきただけでハードボイルドを感じさせる存在。
ジーナ・ローランズとローレン・バコール。名前からしてハードボイルドではないか。
要は無茶苦茶カッコいいのだ。拳銃を握らせたときの画面映えは半端ではない。
Eウンガロのド派手な衣装を着て躊躇なく拳銃をぶっ放すグロリアおばさん。
これを観たのは緋牡丹のお竜さんに身も心も没頭していた頃なので、
北野映画ばりの躊躇のなさに、二十歳の映画小僧はやや引き気味で画面を観ていた。
今や『アトミック・ブロンド』など、マッチョな女性アクションは定番になったが、
当時、ここまでハードなヒロインの映画は珍しかったのだ。
しかし、それほど昔の話ではないと思っていたことが、軽く36年前なんてことになる。
そうあのグロリアおばさんは当時50歳。今の自分より6つも年下ではないか。
因みにジーナは1930年生まれというから、母と同年代。ご健在とのこと。
6年年下ともなれば、グロリアおばさんのイメージも変わる。
ニューヨーク中を駆け回る姿が、健気でもあるし、優しい性格も垣間見える。
そしてそんなグロリアをほんの少し上から目線で見ていられる。
旧ヤンキーススタジアムに世界貿易センタービルが並んで建つニューヨークが、
それほど古びた感じでもなかったのも嬉しかった。


2017.11.12(日) 家族の宿題

週末に実家に帰るたびに母と喧嘩し、
親父を訪ねては親同士が喧嘩する。
誰に遠慮なくズケズケ言える対象がいないのだから仕方がない。
とくに両親の会話など、耳が遠い同士で相手の話を聞かない同士なので、
迂闊にそんなものの間に入ってなるものかと思う。
幼い子供が成長するのと、老人が退化するスピードは同じだと実感しつつ、
今も大量に残された宿題から逃げている。


2017.11.11(土) 80年代映画ベストテン

新文芸坐が企画した<あなたが観たい80年代邦画・洋画ベストテン>。
その結果がHPにアップされ、劇場ロビーにも貼り出されていた。
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【80年代日本映画ベストテン】
1位:影武者(80黒澤明)/2位:その男、凶暴につき(89北野武)3位:ツィゴイネルワイゼン(80鈴木清順)/4位:乱(85黒澤明)/5位:台風クラブ(85相米慎二)/6位:蒲田行進曲(82深作欣二)/6位:風の谷のナウシカ(84宮崎駿)/8位:泥の河(81小栗康平)/8位:転校生(82大林宣彦)/10位:時をかける少女(83大林宣彦)/次点:家族ゲーム(83森田芳光)
【80年代外国映画ベストテン】
1位:ダイ・ハード(88ジョン・マクティアナン)/2位:ブレードランナー(82リドリー・スコット)/3位:アマデウス(84ミロシュ・フォアマン)/4位:E、T.(82スティーヴン・スピルバーグ)/5位:ストリート・オブ・ファイヤー(84ウォルター・ヒル)/5位:ブルース・ブラザース(80ジョン・ランディス)/7位:スタンド・バイ・ミー(86ロブ・ライナー)/8位:地獄の黙示録(79フランシス・F・コッポラ)/9位:未来世紀ブラジル(85テリー・ギリアム)/10位:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(84セルジオ・レオーネ)/次点:エレファント・マン(デヴィッド・リンチ)
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かつての文芸坐の観客気質を思うと、黒澤が清順を抑えているのが不思議だが、
あくまでも「あなたが観たい」であって、中高年の郷愁ばかりではないのだろう。
洋画の『未来世紀ブラジル』以外はすべて劇場で観ている。
そこで私も個人的な80年代映画ベストテンを選んでみた。
もちろん劇場観賞に限っているのと、後年に観た80年代映画は除外している。
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【私個人の80年代日本映画ベストテン】
1位:転校生(82大林宣彦)
2位:蒲田行進曲(82深作欣二)
3位:風の谷のナウシカ(84宮崎駿)
4位:ピポクラテスたち(80大森一樹)
5位:ツィゴイネルワイゼン(80鈴木清順)
6位:土佐の一本釣り(80前田陽一)
7位:となりのトトロ(88宮崎駿)
8位:嗚呼!おんなたち・猥歌(81神代辰巳)
9位:細雪(83市川崑)
10位:家族ゲーム(83森田芳光)
次点:ゆきゆきて神軍(87原一男)
【私個人の80年代外国映画ベストテン】
1位:ダイ・ハード(88ジョン・マクティアナン)
2位:E、T.(82スティーヴン・スピルバーグ)
3位:パリ、テキサス(84ヴィム・ヴェンダース)
4位:ストレンジャー・ザン・パラダイス(84ジム・ジャームッシュ)
5位:プロジェクトA(83ジャッキー・チェン)
6位:ペイルライダー(85クリント・イーストウッド)
7位:愛と追憶の日々(83ジェームズ・L・ブルックス)
8位:バック・トゥ・ザ・フューチャー(85ロバート・ゼメキス)
9位:マッド・マックス2(82ジョージ・ミラー)
10位:ハンナとその姉妹(86ウディ・アレン)
次点:ローズ(79マーク・ライデル)
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持論として80年代は昭和60年の阪神優勝以外はクソみたいな年代なのだが、
こうして並べてみると、それなりに充実した10年だったような気がする。
なにせ「家宅の人」「遠雷」「狂った果実」「天城越え」「天空の城ラピュタ」「台風クラブ」「男はつらいよ・知床慕情」「異人たちとの夏」「ブリキの太鼓」「ブラトーン」「レイジング・ブル」「ブルース・ブラザース」「ストリート・オブ・ファイヤー」「ウォー・ゲーム」「月の輝く夜に」「探偵マイク・ハマー/俺が掟だ」、、、、
を落としてしまったのだから。
まぁ、あと十年も経てばこんなもの幾らでも変動するだろう。


2017.11.10(金) 被害者たちの身元が明かされる

事件発覚以来、“9遺体”と呼ばれ続けてきた彼ら。
この呼称にはずっと抵抗を感じていた。
遺体の身元と氏名が公表され、ようやく彼らに人権が戻っかと思いきや、
いざ顔写真が並ぶと、ここまで公表されることの残酷さを思う。
中には15歳の女の子もいるではないか。
「自殺サイト」が発端である以上、世間の好奇な目に晒されることにならないか。
「彼らが自殺サイトに拠り所を求めた理由とは何か?」
「あなたの娘は大丈夫ですか?」「はびこる自殺サイトの深層とは?」
早速、週刊誌は被害者の家庭事情を記事にしていたが、
おそらく被害者宅にはマスコミが殺到し、
電話のベルと玄関の呼び鈴は鳴りっぱなしなのではないか。
励ましやお悔やみばかりではない郵便物も届いているだろう。
そんな中で、逮捕された白石某から残虐な犯行手口が供述されていく、
結局、彼らは何度も殺され続ける運命にある。
被害者全員に捜索願が出されていたという。
遺族たちは同情されこそすれ、非難される筋合いはない。


2017.11.09(木) “恨”の国の晩餐会

米大統領を迎えての晩餐会に竹島産のエビ料理に慰安婦。
今の切迫した状況にあって、韓国は一体何をアピールしたいのか。
この国が日本と組んで北の同胞と闘うなんてあり得ないわけだから、
日本もいつまでもアメリカの顔色ばかり気にする必要などあるのだろうか。
さすがに断絶して国際世論の批判を浴びるのは得策でないのなら、
もう無視、黙殺に近い関係であるべきではないのか。
そもそもこの国との関係で、日本にメリットがあるのだろうか。
経済?観光?文化交流?どれも大したことはないだろう。
もちろん断絶するメリットは少ないだろうが、デメリットもあるのか。
嫌われている相手に、いつまでも交際を持ちかける必要はないではないか。


2017.11.08(水) 映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

 “都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
 塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない”
石井裕也監督の新作は、主人公・美香のこんなモノローグから始まる。
最果タヒなる人の書いた原作は読んでいない。多分、読むことはないだろう。
小説ならともかく、同名の原作『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は詩集だ。
私は詩を諳んじ感銘するような資質は持ち合わせてはいない。残念で悔しいが。
学生時代に付き合っていた彼女に中原中也を贈ったことがある。
今、白状すると単にカッコつけただけ。
本の中身は最初の「汚れちまった悲しみに」を斜め読みしただけだった。
石井裕也が詩から抱いたイメージを物語に乗せたのならそれを真剣に観るのみだ。
『川の底からこんにちは』『舟を編む』『ぼくたちの家族』と快作を世に送り出して、
大きな資本がついた『バンクーバーの朝日』でブレーキがかかった。
これは石井裕也には小さな映画からの仕切り直しなのだろうが、最高傑作となった。
冒頭に引用したモノローグにあるように美香は東京に絶望しながら、
昼は看護師、夜はガールズバーのホステスをやって生計を立てている。
 “きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、
 誰も愛さないあいだ、きみはきっと世界を嫌いでいい。
 そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない”
一瞬、『真夜中のカーボーイ』のダスティン・ホフマンが頭に浮かぶ。
あのラッツォはニューヨークにしがみつきながらフロリダを夢見ていた。
しかし美香は故郷も憎み、孤独であることに躊躇しない。ラッツォより逞しく、悲しい。
一方、左目が見えない慎二は、世の中を半分の目で見ながら過酷な労働に身を置く。
ときに饒舌で仕事仲間の顰蹙を買うが、内気で純粋な心を持った青年として描かれ、
同じように東京に迷いながら、どこかに不安定な危うさを孕んでいるようにも窺える。
ふたりは自己内向に生息しているようで、実は生活のリアリズムでもがいている。
仔犬が保健所に捕らわれ、焼き殺される煙が降り注ぐ都会から逃れない。
石井裕也は最果タヒの詩集から、そんな美香と慎二の物語を編んでいく。
物語はラブストーリーとなって、互いをチラ見しながらも寄り添っていく。
そして次第に自身に纏わりつく緊張を削ぎ落していく、その過程が気持ちいい。
♪頑張れ~!と絶叫するストリートシンガーが繰り返し映し出されるのは、
昔の『あらかじめ失われた恋人たちよ』の棒高跳びのフラッシュバック、
あるいは『書捨てよ街に出よう』の人力飛行機のリフレインを想起させ、
いつか見た懐かしい青春映画の記憶が呼び覚まされたようで嬉しかった。
この映画が東京の今を映し出していたかどうかわからないが、
少なくとも今年の日本映画に無垢な楔を打ち込んだことは間違いないだろう。


2017.11.07(火) 小春日和の立冬

知人とのメールのやりとりで「立冬」と書くべきところ、
「冬至」と書いてしまった。
抜けるような秋空で、10月中旬並みの気温だという。
10月中旬並みといわれてもピンと来ないが、
小春日和とはこういうものかと思った。
どちらにしても暦の上ではもう冬。
一日はどうにも長いが、一週間は早い。
一ヶ月はもっと早く、一年などあっという間だ。
ドナルド・トランプは韓国入りして、文在寅と首脳会談。
一年前の今頃はまだ二人とも大統領ではなかったか。
そう思うとあっという間の一年にもいろいろあったものだ。
って、一年を振り返るのはまだ早いか。


2017.11.06(月) 街が発展すること

私の借り住処の最寄り駅である中央林間駅は、
東急田園都市線と小田急江ノ島線の二路線が発着している。
だから毎朝、約100メートルの通路を乗換客が右に左に猛ダッシュで行き交う。
これが非常に危ない。いつだか正面衝突しそうになったこともある。
いい大人のサラリーマン、OLが朝から鬼の形相で走るのもどうかと思い、
私などわざとゆっくりふんぞり返って歩いたりもするのだが、
朝の乗換駅のコンコースなどどこもそんなものだろうか。
二路線といっても、渋谷に行くか新宿に行くかの違いで方向はほぼ一緒。
私は始発駅で座れるという理由で東急を利用しているが、
東急はラッシュ時の急行運転は中止し、準急のみで運行しているため、
田園都市線の朝7時台は僅か2本だけの準急に乗客は殺到することになる。
一方、工場跡地に建設中の大規模なマンションが売り出されていて、
なんでもおそよ900世帯の入居が可能なのだそうな。
その規模の入居が完了したとすると、最低でも900人の乗客が増えることになり、
朝7時台の2本の始発の準急の混雑を考えるとうんざりする。
もともと私など他所者であるため、この街の発展など迷惑なだけなのだ。


2017.11.05(日) 米国大統領来日

大統領専用機エアフォースワンがどれだけ快適なのかは知らないが、
そこでゆったり出来たとしても、到着早々ゴルフとは・・・・。
やはりタフでなければ勤まらない。
首脳会談の中心は北朝鮮問題になるのだろうが、
シンゾーとドナルドは一層の圧力外交を確認し、共有する作業になるのだろう。
「圧力よりも対話重視で」などの声も聞こえるが、
日本にとって最悪のシナリオとは、
アメリカが北朝鮮の核保有を認めないまでも、黙認してしまうことだ。
北朝鮮が核開発放棄を前提とした対話はあり得ないといっている以上、
日本は、アメリカの圧力路線を支持し続けながら、
より大きな核の傘に入らなければならない。
トランプと金正恩の威嚇合戦が相変わらず終わらない中で、
もっともチキンレースを強いられているのは日本ではないのか。


2017.11.04(土) ソフトバンクホークス優勝

ソフトバンクホークス優勝おめでとう。
九回一死からの内川の土壇場での同点ホームランには恐れ入った。
もう今夜決めるのだとサファテを3イニング跨がせた工藤采配にも感服した。
サヨナラの場面をかっさらった川島は殊勲だったが、
その瞬間にベンチを飛び出したホークスの面々の狂喜の表情を見て、
いかにこのシリーズでDeNAに絶対王者が苦しめられてきたのかがわかった。
横浜DeNAベイスターズ、なかなか天晴れな挑戦者だった。


2017.11.03(金) 新米とレイトショー

新潟から新米が届いた。
今やすっかりブランド化した岩船産コシヒカリだ。
もう旨いのなんのって。母親が塩かけて食ってみろという。
脳梗塞の母と高血圧の息子。もうダメダメだが旨いのだからしょうがない。
なお新米は4合の米に3合の水で炊くのが最高だ。
夜の10時からレイトに出掛ける。
ここから深夜2時まで2本観る。独り身の三連休なんてこんなものだ。
滝田洋二郎の『ラストレシピ』はシネスコ大画面に豪華な料理が並ぶ。
名付けて“大日本帝国食菜全席”。
しかしどう見ても実家での白米塩かけご飯の方が旨そうだったし、
映画の中でも親娘で食べる焼き鮭の切り身を超えるものはなかった。
戦時下の幻のレシピを探しに若い料理人が日本、中国を訪ね歩く。
二部展開は悪くなく、スケール感もある。監督は滝田洋二郎。
いい話だ。しかしいい話過ぎて感動VTRに見えてしまう恨みが残った。
続いて日付が変わって北野武『アウトレイジ 最終章』。
たけしのドンパチものなら深夜でも眠くはならないだろうとの読みもあった。
眠くなるどころか、2時過ぎまで緊張しながら観た。
例によって「バカヤロー、コノヤロー!」の男たちの怒号が場内に響く。
「三行の映画評」にも書いたが、どうしても馴染んだ東映やくざ映画と比べてしまい、
そのあまりにも冷たく乾いた質感が私にとって異形のやくざ映画となるのだが、
豪華な顔ぶれも、所謂「やくざ映画役者」が白竜くらいなのが逆に不気味なのだ。
東映の場合は主役から脇役、大部屋まであまりにも親しみ過ぎてしまい、
その副作用でやくざがおっかないと思える映画はほぼ皆無になっている。
北野映画は親分からチンピラまで心底「嫌だな」と思うやくざがズラリ並ぶ。
やくざは観る者がその世界に入って、やくざを見るよりも、
我々の日常からやくざの存在を見る方がずっと恐ろしい。
北野は常に客観的な視点からやくざを描くので、「嫌だな」の感覚から逃れられない。
そこに世界に衝撃を与えたバイオレンスの妙味が施されるのだからたまらない。
カメラが引いたところで淡々と二名を射殺する場面など北野映画の真骨頂だろう。
東映で一発の銃声の後、薬莢がカランと落ちる音など聞いたことがなく、
そのヒリヒリした質感に私はいつも緊張を強いられてしまう。
もちろんそんな緊張感を私は前のめりにワクワクしながら味わっているのだ。


2017.11.02(木) DeNA、浜スタ凱旋を完遂

第3戦を落としてホークスに王手をかけられた一昨日。
「何やってんだ、5戦のチケットを買ったベイファンに試合を見せたれよ」と思った。
今回のベイの使命は浜スタできっちり3つやることであり、
長いこと不遇をかこったファンにシリーズの雰囲気を味あわせてやることに尽きた。
それが昨日はルーキー濱口が快投し、今夜はロペス、筒香、宮崎で逆転勝利。
0-3も2-3になるとまるでシリーズの様相が変わって来る。
問題はベイより、福岡でホークスの相手が胴上げするイメージがまるでないことか。


2017.11.01(水) 切なさが良かった『ブレードランナー2049』

1982年に公開されたリドリー・スコットの前作は、封切り落ちの二番館で観た。
その時は併映のクリント・イーストウッド主演作が個人的にはメインで、
『ブレードランナー』は添え物扱いで、かなり雑に観た記憶がある。
ところがビデオの時代とともに作品そのものがムーブメントとなり、
80年バブル期のカルチャーに大きな影響を与える映画になっていく。
確かにロサンゼルスの斬新な造形は近未来ものの基本となったようで、
アジアテイストのネオン看板に雨、林立する巨大タワーの下にうらぶれた街。。。。
ここから近未来のデザインが一変し、多くの亜流を産んでいったわけだ。
ことほどさようにこの映画には熱狂的なフリークがいるのだが、
私はここから派生したサイバーパンク・ムービーにはまったく興味が持てず、
どちらかといえば『ブレードランナー』は敬遠したいタイプの映画ではあった。
今さらDVDで前作を見直すことはなかろうが、描かれたのは2019年の未来都市。
1982年の公開当時からすると37年後は途方もなく未来だったのか。
実際の2019年は映画ほど科学が先鋭でではなく、そこまで退廃もしていなかった。
そしてさらにそこから30年後を描く『ブレードランナー2049』が公開される。
かなり前作からリンクされたエピソードもあるのだろうが、
私はハリソン・フォードがデッカード捜査官という役名だったことも憶えていない。
よほどの興味を掻き立てられない限り、映画を超えて微に入り細に入りの考察はしない。
何度もいうが『ブレードナンナー』にはそこまで掻き立てられるものがなかった。
だから雑音(失礼)なしに『ブレードランナー2049』と対峙することになったのだが、
それが本当に良かったと思う。何よりも物語が非常に明確で親切だったのが有難い。
レプリカントによるレプリカント狩り。そこから生ずるアイディティの模索。
もちろんアンドロイドが自身の存在を探求する映画も多く発生したが、
その通俗性が『ブレードランナー』の世界観に抱かれると何とも心地良かった。
途中で反乱軍が現れ、最近の『スター・ウォーズ』みたいで嫌な予感もしたが、
そっちの戦闘アクションにブレなかったのが何よりも良かった。
「三行の映画評」で、Kに寄り添う電磁ホログラム“ジョイ”が欲しいと書いたが、
Kとジョイが「作りものの悲哀」を共感し、バディを組む展開がとくに好きだった。
人を殺しながら涙を流すラヴといい、この映画にはレプリカントたちの切なさが漂う。
しかし何といってもようやく辿りついたアイデンティティにすら裏切られたKが、
雪の舞う虚空を見上げる切なさこそこの映画の本質だったのだと信じたい。
とくにラストはサイバーパンクの尖った世界観を否定するようでもあり、
Kやディカードたちの闘いとシンクロし、パラドクスを形成するようで面白かった。



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