◆三行の映画評

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女王陛下のお気に入り
2019.02.18 TOHOシネマズ新宿 スクリーン8 THE FAVOURITE [\1100/120分]
【20】2018年アイルランド=イギリス=アメリカ 監督:ヨルゴス・ランティモス 脚本:デボラ・デイビス、T・マクナマラ
CAST:オリビア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト、ジェームズ・スミス
●侍女が豪華絢爛な王宮美術の中を「FUCK!FUCK!」と毒づきながら罷り歩く映画。アン女王、サラ、アビゲイルとエキセントリックな人物しか見つからないのだが、喜劇になる一歩手前で凄まじくも虚飾に彩られた“女の学校”だと思った。権力にとり憑かれながら目先の意地が火花を散らす様に、男は慄きながら楽しく観るしかないのだろう。


七つの会議
2019.02.17 TOHOシネマズ海老名 スクリーン8 [\0/119分]
【19】2019年東宝=TBS 監督:福澤克雄 脚本:丑尾健太郎、李正美
CAST:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、藤森慎吾、朝倉あき、立川談春、鹿賀丈史、橋爪功、北大路欣也
●役者たちの大芝居だけが見どころで内容がメタメタ。もうテレビ屋に映画を撮らすな!とTBS日曜劇場の既視感に堪えられず何度も途中退席が頭を過った。ところが館内は満杯、隣に座っていたカップルは「面白かったね」などと話している。私の方に問題があるのか?とてもスクリーンで観るレベルとは思えない。・・・タダで観ておいてなんだが。


パルプ・フィクション
2019.02.17 TOHOシネマズ海老名 スクリーン7 PULP FICTION [\1100/154分]
【18】1994年アメリカ 監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ
CAST:ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ハーベイ・カイテル、ブルース・ウィリス
●ビデオで観て即サントラ盤を買った。驚くのはもう四半世紀が過ぎていたということか。当時、世界中を驚かせたタランティーノの斬新な作劇はその影響力ですっかり手垢がついた感があるが、25年前に立ち返らせて、その時代の空気でスタイリッシュな瑞々しさを堪能することが出来た。今まで私の観賞録になかったことが問題だったのだ。
※1994年キネマ旬報ベストテン第4位


ファースト・マン
2019.02.15 イオンシネマ新百合ヶ丘 スクリーン9 FIRST MAN [\1100/141分]
【17】2018年アメリカ 監督:デイミアン・チャゼル 脚本:ジョシュ・シンガー
CAST:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール
●人類初の月面着陸、偉業を達成したNASAの技術人、英雄を支えた家族と、いくらでも彼らの功績を謳い上げることは出来ただろう。しかし映画のトーンは暗く、主人公はどこか冷めた風でもある。これが80年代生まれの監督・主演コンビの、当時の熱狂と興奮を知る世代への回答だとしたら相当のギャップではある。正直、面白くはなかった。


赤い雪
2019.02.05 テアトル新宿 [\1000/106分]
【16】2019年製作委員会=アークエンタテインメント 監督:甲斐さやか 脚本:甲斐さやか
CAST:永瀬正敏、菜葉菜、井浦新、佐藤浩市、夏川結衣、吉澤健、坂本長利、眞島秀和、紺野千春、イモトアヤコ
●雪と朱のコントラストに蠢く人間たち。どこまでも暗く陰惨な物語は全然アリだが、ロジックは案外真っ当で、取り戻される記憶でさらに主人公が絶望の淵に追い込まれていく様に妙に腑に落ちるものがあった。ただ匿名性の中の陰鬱さに浸りたかったので、有名俳優が出るとそこに安心感が生じ、興が削がれてしまうのは仕方なかったのか。


ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ <ディレクターズ・カット>
2019.02.03 TOHOシネマズ海老名 ONCE UPON A TIME IN AMERICA [\1100/251分]
【15】1984年アメリカ=イタリア 監督:セルジオ・レオーネ 脚本:S・レオーネ、L・ベンヴェヌーティ、P・D・ベルナルディ、E・メディオーリ
CAST:ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァン、ジョー・ペシ、ジェニファー・コネリー
●ギャングたちの自滅劇ではあるのだが、流れた血の多寡で国の歴史が作られるなら、ヌードルスの刹那的な欲望と殺戮のフラッシュバックも一片の叙事詩となる。そして邂逅の果て、若き日の己れは笑っていたのだ。レオーネとモリコーネ。私の人生の大半を神として君臨し続けた二人が壮大に奏でる4時間11分。「至福」の言葉こそ相応しい。
※1984年キネマ旬報ベストテン第1位


十二人の死にたい子どもたち
2019.02.01 新宿ブルグ9 シアター4 [\1100/118分]
【14】2019年製作委員会=日本テレビ 監督:堤幸彦 脚本:倉持裕
CAST:杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音
●黒装束の行進など、いつもの堤幸彦の薄っぺらな演出に失笑を禁じえないものの、若い俳優たちの熱がそれなりに伝わって飽きることはなかった。冲方丁はこんな話も書くのかと驚くが、それなりに原作は面白いのだろう。ただ十二人揃えなければならないお約束があるとも思えず、推理ものとして後出しジャンケンが多すぎたのは残念だ。


日の名残り
2019.01.26 TOHOシネマズ海老名 スクリーン6 THE REMAINS OF THE DAY [\1100/134分]
【13】1993年アメリカ 監督:ジェームズ・アイヴォリー 脚本:ルース・プラヴァー・ジャブヴァーラ
CAST:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、ジェームズ・フォックス、クリストファー・リーヴ、ヒュー・グラント
●原作を読んでいないのでカズオイシグロの世界観は言及できないし、大英帝国に親ドイツの勢力があったことも知らなかった。しかし映画はお構いなくある執事の厳格なストイズムを描く。ここまで抑制することで誰かが得をするはずもないが、恋心を最後まで封印しながらも零れていく感情。映画だけが描きえる大人の機微ではなかったか。
※1994年キネマ旬報ベストテン第7位


ひかりの歌
2019.01.22 ユーロスペース [\1200/153分]
【12】2017年 Genuine Light Pictures 監督:杉田協士 脚本:杉田協士
CAST:北村美岬、伊東茄那、笠島智、並木愛枝、廣末哲万、日髙啓介、金子岳憲、松本勝、西田夏奈子、渡辺拓真、深井順子
●抑制から放たれる映画表現の自由―。憑き物が落ちるある瞬間まで、とてつもない傑作なのではないかと前のめりに観ていたが、ふとこの映画が抑制と自由そのものに縛られているのではないかと疑念が生じたとき、153分の長さが気になった。貴重な映像体験だったが、つくづく映画とは作為の産物であることを逆に思い知らされてしまった。


マスカレード・ホテル
2019.01.21 TOHOシネマズ海老名 スクリーン1 [\1100/133分]
【11】2019年フジテレビ=集英社=ジェイストーム=東宝 監督:鈴木雅之 脚本:岡田道尚
CAST:木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、渡部篤郎、前田敦子、石橋凌、菜々緒、生瀬勝久、濱田岳、松たか子
●賑やかな顔ぶれにそれなりのスケール感と、豪華な装飾を施しているだが、どんどん月9サイズになっていくのは止められないのか。キムタクと長澤まさみのコンビに文句はないが、結局はテレビ屋のフィールドワークの内であって映画の呼吸ではない。唯一、松たか子が映画女優をやっていたのが救いか。もっと腰を据えて事件を描くべきだ。


蜘蛛の巣を払う女
2019.01.14 TOHOシネマズ海老名 スクリーン10 THE GIRL IN THE SPIDER'S WEB [\1100/115分]
【10】2018年イギリス=ドイツ=スウェーデン=カナダ=アメリカ 監督:フェデ・アルバレス 脚本:ジェイ・バス、F・アルバレス、S・ナイト
CAST:クレア・フォイ、シルヴィア・フークス、スベリル・グドナソン、ラキース・スタンフィールド、シルビア・フークス
●D・フィンチャーが『ミレミアム』3部作を順次製作するものだと思いきや、いきなり未読の4作目に飛んでしまった。シリーズを重ねるたび主人公が無敵化していくのはよくあることだが、原作を飛ばして一気にリスベットは超人になってしまった。そんなスーパーヒロインと主演女優の華奢な肉体のギャップが残念な結果をもたらしたようだ。


クリード 炎の宿敵
2019.01.14 TOHOシネマズ海老名 スクリーン5 CREED Ⅱ [\1100/130分]
【09】2018年アメリカ 監督:スティーブン・ケイプルJr. 脚本:シルベスター・スタローン、ジュエル・テイラー
CAST:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、ドルフ・ラングレン
●スピンオフとの紹介がもはや違和感でしかなくなった『クリード』の強いブランド力を再認識。それでも前作は青春映画の良作とは思ったものの、世代的にロッキー・バルモアへの郷愁が拭えるものではなかった。今回は素直にアドニス・グリードの妻と母に支えられてこその物語に感銘。ラストのアポロの墓前に孫を見せに行く場面には落涙した。


喜望峰の風に乗せて
2019.01.12 TOHOシネマズららぽーと横浜 スクリーン9 THE MERCY [\1300/101分]
【08】2018年イギリス 監督:ジェームズ・マーシュ 脚本:スコット・Z・バーンズ
CAST:コリン・ファース、レイチェル・ワイズ、デヴィッド・シューリス、ケン・ストット、ジョナサン・ベイリー
●コリン・ファースへの信頼だけで一切の予備知識なしで観た。ポスターのイメージと「実話」と断りを受けての序盤から海洋冒険ものかと思いきや、次第に救いのない方向へ漂流していく。栄光から失望、そして絶望の波間に翻弄される家族が哀しい。C・ファースは申し分なかったが、先に内容を知っていたら辛くて観に行っていたかどうか。


ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
2019.01.05-06 新文芸坐 [\ 〃 /105分]
【07】2001年東宝 監督:金子修介 脚本:長谷川圭一、横谷昌宏、金子修介
CAST:新山千春、宇崎竜童、小林正寛、天本英世、佐野史郎、南果歩、大和田伸也、村井国夫、中村嘉葎雄、津川雅彦
●個人的に『シン・ゴジラ』より面白かった。ガメラと比べヒロイックなイメージに程遠いゴジラを絶対悪として描き、キングギドラ、モスラ、バラゴンにガメラの役割を与えた金子修介。その人選?はともかく日本の古い伝承に防衛軍の誇りを加味して、国難に立ち向かう父娘に焦点を当てていく。これを18年間放置していた無知を恥じる。


怪獣総進撃
2019.01.05-06 新文芸坐 [\ 〃 /89分]
【06】1968年東宝 監督:本多猪四郎 脚本:馬淵薫、本多猪四郎
CAST:久保明、小林夕岐子、愛京子、佐原健二、伊藤久哉、田崎潤、黒部進、土屋嘉男、アンドリュー・ヒューズ
●私は7歳の時、既にゴジラシリーズの堕落と終焉を見切っていた。在庫一斉処分的な怪獣アイランドのくだらなさを以て長年に渡り「ゴジラは第一作を除いてすべて駄作だ」と主張するに至るのだが、その象徴がこの『怪獣総進撃』。11大怪獣勢揃いの趣向は友達からも評判が悪かったし、案の定50年経っても子供だましに睡魔と闘っていた。


フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ
2019.01.05-06 新文芸坐 THE WAR OF THE GARGANTUAS [\ 〃 /88分]
【05】1966年東宝=アメリカ 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 脚本:馬淵薫、本多猪四郎
CAST:ラス・タンブリン、水野久美、佐原健二、田崎潤、中村伸郎、伊藤久哉、田島義文、桐野洋雄、関田裕、中島春雄
●羽田に上陸したガイラが女性を食いちぎり日差しに慄いて海に飛び込む場面。親戚を前に物真似を披露して笑わせたものだ。同時に5歳の私にガイラの兇暴さは強いトラウマを残し、夜の海を見るのが怖かった。浪人時代にここ文芸坐で再会して以来だが、今は伊福部昭の音楽とともに生涯絶対に忘れてはならない大事な一本となっている。


フランケンシュタイン対地底怪獣<バラゴン>
2019.01.05-06 新文芸坐 FRANKENSTEIN VS.BARAGON [\2100/94分]
【04】1965年東宝=アメリカ 監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 脚本:馬淵薫
CAST:ニック・アダムス、水野久美、高島忠夫、土屋嘉男、古畑弘二、田崎潤、藤田進、志村喬、中村伸郎、佐原健二
●小学生のときにテレビで見て以来にもかかわらず、殆どの場面を記憶していた。もちろん怪獣映画のフォーマットで進行するものの、大人が見ていられるプロットがしっかりしていたし、戦後の情緒を引き摺りながらも高度成長に入っていく時代も的確に捉えている。子供心にそんな作品の背骨を理解し、映画好きの血となり肉となったのだ。


チャンス
2019.01.05 TOHOシネマズ海老名 スクリーン7 BEING THERE [\1100/130分]
【03】1979年アメリカ 監督:ハル・アシュビー 脚本:ジャージ・コジンスキー
CAST:ピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、メルヴィン・ダグラス、ジャック・ウォーデン、ルース・アタウェイ
●封切時から違和感はあったのだが、齢が進み偏屈になってくると、チャンスの無垢で無知だが遠慮のなさに露骨に不快感が湧いてくる。多分、そんな人物に潜在的な嫌悪感を抱いているのだろう。こういう前提ではこの映画は楽しめない。残念。そういえば、そこまでやるか!?というシャリー・マクレーンの熱演に憐れさも感じていたっけ。
※1981年キネマ旬報ベストテン第7位


パリの恋人
2019.01.02 TOHOシネマズ海老名 スクリーン4 FUNNY FACE [\1100/103分]
【02】1957年アメリカ 監督:スタンリー・ドーネン 脚本:レナード・ガーシュ
CAST:オードリー・ヘプバーン、フレッド・アステア、ケイ・トムスン、ミシェル・オークレール、ロバート・フレミング
●当たり前のことだが、私が生まれる4年も前から流行やファッションは世界中を駆け巡っていて、オードリーとジバンシーのコンビはその最先端にいたのだろう。そんなオードリーがパリを舞台にアステアと恋に落ち、歌にダンスに脳天気だが夢一杯だ。アステア相手に踊るオードリーに遜色がないのは、幼い頃からバレエに励んできた賜物か。


アリー/スター誕生
2019.01.01 TOHOシネマズららぽーと横浜 スクリーン4 A STAR IS BORN [\1100/136分]
【01】2018年アメリカ 監督:ブラッドリー・クーパー 脚本:エリック・ロス、ウィル・ヘッターズ、ブラッドリー・クーパー
CAST:レディ・ガガ、ブラッドリー・クーパー、アンドリュー・ダイス・クレイ、サム・エリオット、デイヴ・シャベル
●もとよりクラシックな悲劇ストーリーなので、ロックのビートで上がっていくカタルシスは望むべくもないが、それを承知でもレディ・ガガの熱演は圧巻だったし、B・クーパーの才能は予想をはるかに超えた。恋愛映画としても音楽映画としても優れていたのはもちろん、息を呑むライブデュエットで二人の濃密な時間を見せたのが素晴らしい。




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