●2009年(平成21年)

 三行の映画評


接吻 Seppun
2009.2.1 関内ホール
【01】2008年ランブルフィッシュ=ファントムフィルム 監督:万田邦敏 脚本:万田邦敏、万田珠美
CAST:小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎、大西武士、馬場有加、佐藤貢三、宮田亜紀
●「こういうこともあるのかも知れない」とは思わせるものの、突然の殺人鬼に変貌した男の心理も合わせて、まったくの共感もないまま茫洋とした概念の範疇で映画を観続けていた。しかし深層の住民である男女と凡庸な世俗の住民が出会うことで生まれる悲劇に説得力があったのは全編に一貫した緊張感があったからに他ならない。                ※2008年キネマ旬報ベストテン第9位


休 暇
2009.2.1 関内ホール
【02】2008年リトルバード 監督:門井肇 脚本:佐伯大
CAST:小林薫、西島秀俊、大塚寧々、大杉漣、柏原崇、菅田俊、利重剛、りりィ、谷本一、滝沢涼子
●門井肇は過剰な演出を排し、刑務官と死刑囚の関係を平穏な時の流れの中で描いていく。だから連れ子を共にする新婚旅行という気まずい旅の様子も丹念に描きながら、決して刑務所場面とのコントラストを狙うこともしない。しかし刑務官という職務の中で喪失していく心の平穏を求めていく。それが痛く伝わる映画だった。


おくりびと
2009.2.1 関内ホール
【03】2008年松竹=TBS 監督:滝田洋二郎 脚本:小山薫堂
CAST:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、杉本哲太、峰岸徹、山田辰夫、笹野高史
●大悟が田園の真ん中でチェロを奏でる場面。月山を臨む広大な庄内平野は四季折々で表情を目まぐるしく変えていく。吹雪が舞い、桜が咲き、仲睦まじく戯れる白鳥がいる。そのコントラストは鮮やかであり、人の一生のようでもある。私も柄にもなく根源的な部分で「死」について、「死者を送る」ことについて考えていた。                ※2008年キネマ旬報ベストテン第1位


チェンジリング
2009.2.22 109シネマズグランベリーモール CHANGELING
【04】2008年アメリカ 監督:クリント・イーストウッド 脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
CAST:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコビッチ、ガトリン・グリフィス、コルム・フィオール
●カメラの向こう側の貴方がA・ジョリーの表情を捉えて、パンしながら20年代のロサンゼルスの全景を静かに映しこむ。オーソドックスでありながら微妙にセオリーをずらしながら組み立てていく手際。カットのひとつひとつが息づかいとともに悠久の時間を刻み、眩暈にも似た恍惚感を醸し出す。うーん、イーストウッド・・・素晴らしい。                ※2009年キネマ旬報ベストテン第3位


グラン・トリノ
2009.5.4 109シネマズグランベリーモール  GRAN TORINO
【05】2008年アメリカ 監督:クリント・イーストウッド 脚本:ニック・シェンク
CAST:クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファー・カーレー、ジョン・グリルリンチ
●エンディングの曲ではイーストウッド自身がワンコーラスを歌う。「俺のグランよ~俺のトリノよ~♪」と。馬力は凄いが燃費は悪く、重厚だが小回りは利かなそうなレトロでアンティークな名車は、主人公そのもの。そして間違いなくイーストウッドの半世紀にも及ぶキャリアの象徴でもある。またひとつ名作が生まれたことを喜びたい。                ※2009年キネマ旬報ベストテン第1位


劔岳 点の記
2009.6.23 109シネマズグランベリーモール
【06】2009年東映 監督:木村大作 脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
CAST:浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮崎あおい、仲村トオル、石橋蓮司、國村隼、夏八木勲、役所広司
●木村大作が精魂込めたのだから、実景の圧倒感は最初から約束されたようなものだったとも思う。しかし壮大な風景を見せ、過酷な撮影を想像させるだけならドキュメンタリーで事足りる。「CGなし、空撮なし、すべてが本物」という謳い文句と、「驚異の最先端CGを駆使した超大作」との間にどれほどの違いがあるのだろう。                ※2009年キネマ旬報ベストテン第3位


サブウェイ 123 激突
2009.9.6 109シネマズグランベリーモール The Taking of Pelham 123
【07】1959年アメリカ 監督:トニー・スコット 脚本:ブライアン・ヘルゲランド
CAST:デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ、ジョン・タトゥーロ、ルイス・ガスマン、マイケル・リスポリ
●いかんせん映像と音がうるさい。細かいカットをコマ送りのように繋げて擬音を連発するのが、今のアクション映像の作り方なのはわかるが、こういう手法でスピード感を演出するのは私には傲慢に思えてならないのだ。映像が作為的で興をそがれたというのが正直なところだ。それこそオリジナル版は面白かったのだが。


南極料理人
2009.9.12 109シネマズグランベリーモール
【08】2009年東京テアトル=バンダイ他 監督:沖田修一 脚本:沖田修一
CAST:堺雅人、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、西田尚美、嶋田久作、豊原功補
●「気圧の関係で沸点が85℃と低いのでラーメンを茹でても芯が残る」などのエピソードに「へぇ~」と思い、通話1分740円の長距離電話の傍には砂時計が置かれ、ああなるほどとは思う。しかし映画のリアリティとはそういうことなのか。どうも最近の日本映画はこういう「へぇ~」で引っ張っていくパターンが多すぎる。


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