●2003年(平成15年)

 三行の映画評


ギャング・オブ・ニューヨーク
2003.01.27 ワーナーマイカルシネマズ海老名  THE GANGS OF NEWYORK
【01】2002年アメリカ 監督:マーティン・スコセッシ 脚本:ジェイ・コックス、スティーブン・ザイリアン他
CAST:レオナルド・ディカブリオ、ダニエル・ディ=ルイス、キャメロン・ディアス、リーアム・ニーソン
●アムステルダムとビルの対立の図式が、キャメロン・ディアスを間に挟むことでぼやけてしまった。評判はとったがダイエル・デイ=ルイスの大芝居も気になった。アムステルダムが勢力を伸ばしていく過程も明らかに弱く、脚本の欠陥が露呈したように思う。U2の「ザ・ハンド・ザッツ・ビルド・アメリカ」のところが屈指の名場面か。


仁義なき戦い
2003.02.08-09 渋谷東映 ※再観賞
【02】1973年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:菅原文太、梅宮辰夫、松方弘樹、伊吹吾郎、渡瀬恒彦、川地民夫、田中邦衛、三上真一郎、渚まゆみ、金子信雄
●「バトル・ロワイヤル」のメイキングでの70歳のエネルギュッシュな深作欣二。死因はガンでも実際は体力への過信と不摂生によるものだったと思う。しかし彼はリタイアしてから物故記事に載せられる巨匠たちと違って、最後まで撮影現場にいた。深い喪失感の中でそんな慰めを自分に言い聞かせて6度目の五部作一挙オールナイトに臨む。
※1973年キネマ旬報ベストテン第2位


仁義なき戦い・広島死闘篇
2003.02.08-09 渋谷東映 ※再観賞
【03】1973年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:菅原文太、北大路欣也、千葉真一、梶芽衣子、成田三樹夫、山城新伍、前田吟、小池朝雄、川谷拓三、金子信雄
●笠原和夫が特攻隊に志願するも終戦によって行きはぐれた山中に自身の思いを投影させたのに対し、深作欣二は終戦によって古い価値観が崩壊した土壌の中から生まれた狂犬のような大友に共感を抱いたという。結果として笠原の情念に対し、深作の破壊が対立軸となってスパークしたのが『広島死闘篇』を傑作たらしめたのではないだろうか。


仁義なき戦い・代理戦争
2003.02.08-09 渋谷東映 ※再観賞
【04】1973年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:菅原文太、小林旭、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、成田三樹夫、山城新伍、加藤武、田中邦衛、池玲子、川谷拓三、金子信雄
●『代理戦争』は群像劇としても奇跡的な傑作だが、個人的には渡瀬恒彦と池玲子が暗いアパートで結ばれる場面が好きでたまらない。青春が突っ走る一瞬の煌めき、身勝手な欲望と焦燥、そしてゆくゆくは破滅に突き進むであろう運命を「ドドンパ」のメロディが暗示する。深作狂としてもこれほど何度観ても飽きない作品も珍しい。
※1973年キネマ旬報ベストテン第8位


仁義なき戦い・頂上作戦
2003.02.08-09 渋谷東映 ※再観賞
【05】1973年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:菅原文太、小林旭、松方弘樹、梅宮辰夫、田中邦衛、夏八木勲、黒沢年男、小倉一郎、小林稔侍、加藤武、金子信雄
●抗争の展開としてではなく、あくまでも戦後史の力学の中に「仁義なき戦い」を完結させていくのだという深作=笠原の強い意志を感じる。そこにひとつの時代の終焉と世代交代のドラマを絡ませながら、最後に拘置所で言葉を交わす広能と武田。『頂上作戦』のラストは事実上、このシリーズの完結となる屈指の名場面だろう。
※1974年キネマ旬報ベストテン第7位


仁義なき戦い・完結篇
2003.02.08-09 渋谷東映 ※再観賞
【06】1973年東映 監督:深作欣二 脚本:高田宏治
CAST:菅原文太、北大路欣也、小林旭、松方弘樹、宍戸錠、伊吹吾郎、山城新伍、田中邦衛、桜木健一、金子信雄
●笠原和夫が手を引いたシリーズの幕引きを高田宏治はよく引き継いだといえる。満塁ホームランでランナーが一掃した後にバッターボックスに立ち、ホームラン以外は求められないという状況の中で、三遊間を抜けるシングルヒットを放った。私にとって『完結篇』は永遠に星3つ半の映画だ。そう永遠であることの素晴らしさに満ちている。


レッド・ドラゴン
2003.02.09 ヴゥージンシネマズ海老名  RED DRAGON
【07】2002年アメリカ 監督:ブレッド・ラトナー 脚本:テッド・タリー
CAST:アンソニー・ホプキンス、エドワード・ノートン、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン、ハーヴェイ・カイテル
●悪くはないのだが物足りない。稀代の大物プロデューサーが、原作のイメージを外さない豪華キャストをズラリと並べたことで、この売り出し中の新鋭監督の作家性は風前の灯火となったか。器用人という位置づけは確保したものの、独自の映像表現もままならないまま、原作の持ち味を損なわないようにするのに精一杯という印象だ。


新幹線大爆破
2003.02.23 国立近代美術館フィルムセンター ※再観賞
【08】1975年東映 監督:佐藤純彌 脚本:佐藤純彌、小野竜之介
CAST:高倉健、宇津井健、千葉真一、山本圭、織田あきら、小林稔侍、志村喬、岩城滉一、丹波哲郎、田中邦衛、竜雷太
●上映終了後に撮影に実際使用されたミニチュアの新幹線を会場まで運ぶ任を授かり、佐藤純彌と名刺交換までしてしまった。着想が素晴らしかったとはいえ特撮は残念で、世にいわれるほどの大傑作とも思っていないが、設定をそっくりそのままハリウッドにパクられた『スピード』の何倍も面白いことだけは断言してもいい。
※1975年キネマ旬報ベストテン第7位


ボウリング・フォー・コロンバイン
2003.02.26 ヴァージンシネマズ海老名  BOWLING FOR COLUMBINE
【09】2002年アメリカ=カナダ 監督:マイケル・ムーア 脚本:マイケル・ムーア
CAST:マイケル・ムーア、チャールトン・ヘストン、マリリン・マンソン、マット・ストーン、クリス・クロス(記録映画)
●優れたドキュメンタリーとは、作り手側に内在する強烈な「物語」を、いかに「真実」としてフィルムに焼き付けることが出来るかに他ならない。その意味で『ボウリング・フォー・コロンバイン』はマイケル・ムーアが我々に突きつけた最高の物語といえるのではないか。ラストで“ベン・ハー”と対峙するムーアの水際立つかっこよさよ。
※2003年キネマ旬報ベストテン第4位


007/ダイ・アナザー・デイ
2003.03.10 ヴァージンシネマズ海老名  DIE ANOTHER DAY
【10】2002年イギリス=アメリカ 監督:リー・タマホリ 脚本:ニール・バーヴィス、ロバート・ウェイド
CAST:ピアース・ブロスナン、ハリー・ベリー、トビー・スティーヴンス、リック・ユーン、ジュディ・ディンチ、マドンナ
●もはや「コネリーこそボンド」なんて言い草は、全共闘の武勇伝を自慢気に語るオヤジと変わらなくなってしまったが、ここにはイギリス野郎のユーモアとダンディズムの欠片もなく、完全にノー天気ハリウッド・エンタティメントが堂々と憚っていた。もうオールドファンにはレンタルでいいのかも知れない。


戦場のピアニスト
2003.03.10 ワーナーマイカルシネマズ海老名  THE PIANIST
【11】2002年ポーランド=フランス 監督:ロマン・ポランスキー 脚本:ロナウド・ハーウッド他
CAST:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、フランク・フィンレイ、エメリア・フォックス
●気のいい老父母がいて、やさしい二人の姉と血気盛んな弟に囲まれた普通の家族に、じわじわと戦争の影が忍び寄る怖さ。しかし家族と離ればなれになった主人公が、状況に弄ばれるように逃亡劇を繰り返すワルシャワ隆起以降の部分は、語り部としてのポランスキーの巧さは納得しても、戦争の本質をつく前半ほどの力は感じなかった。
※2003年キネマ旬報ベストテン第1位


ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
2003.03.11 ヴァージンシネマズ海老名  THE LORD OF THE RING THE TWO TOWERS
【12】2002年アメリカ=ニュージーランド 監督:ピーター・ジャクソン 脚本:ピーター・ジャクソン
CAST:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、リヴ・タイラー、クリストファー・リー
●何よりもパーティが3つに分散されたことによって、各々の登場人物の役割が鮮明になったことと、それぞれに絡んでゆくキャラクターたちが際立っていた。3つの物語を軸に進行していく中で、どのエピソードもそれぞれに面白く、3時間があっという間に過ぎて行く。久々にエンドロールが流れた時に、「もう少しやってくれ」と思った。


シカゴ
2003.04.22 ヴァージンシネマズ海老名  CHICAGO
【13】2002年アメリカ 監督:ロブ・マーシャル 脚本:ビル・コンドン
CAST:レニー・セルウィガー、キャサリン・ゼダ=ジョーンズ、リチャード・ギア、ルーシー・リュウ、ジョン・C・ライリー
●若干、“ボス”の女看守長が黒人であったり、花形令嬢が中国人であったりすることが、20年代のアメリカで成立したのかどうか疑問に思ったが、“この街は金がすべてモノをいう”という当時のシカゴのダークな雰囲気は十分に伝わってきた。現実描写がステージ上のミュージカル・シーンに転換するという手法は新鮮そのもの。
※2003年キネマ旬報ベストテン第8位


君が若者なら
2003.04.30 三百人劇場
【14】1970年新星映画社=文学座=松竹 監督:深作欣二 脚本:中島丈博、松本孝二、深作欣二
CAST:前田吟、石立鉄男、寺田路恵、河原崎長一郎、峰岸隆之介、林秀樹、荒木道子、大地喜和子、小川真由美、室田日出男
●新星映画社=文学座の製作ということで、左派的ニュアンスはあっても不良性感度濃厚の青春ものではない。これが東映なら彼らは一旗揚げるため愚連隊化して大暴れとなる。とにかく驚いたのが、この段階で手持ちカメラとフラッシュバックによる叩きつけるような深作タッチで全編が貫かれていたことか。追悼上映に際し新発見だった。


恐喝こそわが人生
2003.04.30 三百人劇場
【15】1968年松竹 監督:深作欣二 脚本:神波史男、松田寛夫、長田紀男
CAST:松方弘樹、佐藤友美、室田日出男、ジョー中山、石山健二郎、高宮敬一、江原真二郎、川津祐介、天知茂、丹波哲郎
●テイストとしては中島貞夫の『893愚連隊』だが、組織として成り上がるよりダチとの連帯を志向していく部分では『狼と豚と人間』の若者像に近い。展開のスピードが先走るあまり、人物設定が次々と回想シーンのフラッシュバックで処理され、主人公の独白が延々と繰り返される深作節の臭さがちょっとやんちゃに思えた。


新 仁義なき戦い
2003.05.04 三百人劇場 ※再観賞
【16】1974年東映 監督:深作欣二 脚本:荒井美三雄、神波史男
CAST:菅原文太、若山富三郎、松方弘樹、渡瀬恒彦、宍戸錠、安藤昇、田中邦衛、池玲子、松尾和子、川谷拓三、山城新伍
●当時の深作の供述ではこの映画を「祭り」と位置付け、前五部作の緻密なストーリーや“崇高な”理念より、徹底的に下品な笑いが随所に散りばめられ、「客が笑って盛り上がってくれればいい」という居直って撮ったのだという。当時の深作と文太の勢いか“祭り”はしっかりと完成している。何度観ても面白いのだから。


県警対組織暴力
2003.05.04 三百人劇場 ※再観賞
【17】1975年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、成田三樹夫、佐野浅夫、室田日出男、山城新伍、田中邦衛、川谷拓三、金子信雄
●刑事とやくざを「戦後の集団就職の売れ残り」として同一線上に捉えることで、日陰者たちの足掻きを謳いあげる。例によって随所に“笑い”が散りばめられている。ある意味、久能警部の殉職も滑稽だ。しかし依然として“人間喜劇”である以上は、“笑い”は不可欠だ。「最後は二等兵曹として死ぬ」といった笠原和夫の真骨頂がここにある。


解散式
2003.05.04 三百人劇場
【18】1967年東映 監督:深作欣二 脚本:松本功、山本英明
CAST:鶴田浩二、丹波哲郎、渡辺美佐子、渡辺文雄、待田京介、曽根晴美、小松方正、室田日出男、宮園純子、河津清三郎
●本来なら着流し姿の鶴田浩二が「義理人情を抜いたら俺たちやくざに何が残る。」と台詞を吐けば、任侠映画としては“泣かせ”の場面として成立するが、石油コンビナートや愚連隊が闊歩するスラムがバックではどう見てもケレンを通り越しギャグにしか思えない。この頃の深作の「黒さ」はただ事ではなく、黒過ぎて笑ってしまうのだが。


日本暴力団・組長
2003.05.04 三百人劇場
【19】1969年東映 監督:深作欣二 脚本:神波史男、長田紀生、深作欣二
CAST:鶴田浩二、若山富三郎、菅原文太、安藤昇、内田良平、中原早苗、一色美奈、水島道太郎、室田日出男、小林稔侍
●ニュープリントの画面に大写しとなる鶴田浩二の顔は本当に美しいと思った。凄みある面々がズラリと鶴田を囲むだけに、その端正な顔立ちが一層目立つ。関西の巨大組織の関東進出で関西と手を結んだ横浜の組を大同団結した関東勢が潰しにかかるという代理戦争の大筋に、鶴田はあまりにも浮き過ぎた。今はその違和感が面白いが。


ギャング同盟
2003.05.09 三百人劇場
【20】1963年東映 監督:深作欣二 脚本:秋元隆太、佐治乾、深作欣二
CAST:内田良平、三田佳子、佐藤慶、戸浦六宏、平幹二郎、アイ・ジョージ、曽根晴美、山本麟一、楠郁子、薄田研二
●ビッグネームが出ていない分だけ自由奔放にスピーディでスタイリッシュな仕上がりを見せ、最後まで飽きさせることはない。出だしから終戦直後の青空幻想に思い入れ、戦後民主主義の虚妄性を描き続け“焼け跡回帰願望”がもろに描出されている点で、徹底的に深作映画たらしめている作品だ。心の底から観られて良かったと思う。


狼と豚と人間
2003.05.11 三百人劇場 ※再観賞
【21】1964年東映 監督:深作欣二 脚本:佐藤純彌、深作欣二
CAST:高倉健、三國連太郎、北大路欣也、中原早苗、江原真二郎、石橋蓮司、岡崎二朗、沢彰謙、室田日出男
●上映後に深作夫人である中原早苗の対談が催され「実は初めて観ましたがヌーベルバーグのようでびっくりしました」という感想が微笑ましかった。広能組が仕切る「原爆スラム」に至るまで、深作が延々と描き続けてきたスラムの風景が、この映画では突出している。もう誰が豚で狼なのだという分類すら意味はないのかもしれない。


ギャング対Gメン
2003.05.14 三百人劇場
【22】1962年東映 監督:深作欣二 脚本:佃島栄
CAST:鶴田浩二、千葉真一、梅宮辰夫、丹波哲郎、佐久間良子、沢たまき、織本順吉、砂塚秀夫、加藤嘉、曽根晴美、神田隆
●東映のギャングものは着流し任侠ものの現代版ではなく、あくまでもチャンバラ時代劇に『アンタッチャブル』テイストの荒唐無稽なファンタジーであるため、この作品もその辺りの大らかさが反映されている。観ていて苦笑してしまうこともしばしばで、会社のお仕着せの企画に足掻き82分に刈り込んだ深作の迷走ぶりが笑わせてくれる。


ジャコ萬と鉄
2003.50.14 三百人劇場
【23】1964年東映 監督:深作欣二 脚本:黒澤明、谷口千吉
CAST:高倉健、丹波哲郎、山形勲、江原真二郎、高千穂ひづる、南田洋子、大坂志郎、入江若葉
●苦節四半世紀、ようやく観た。北海の荒海、殴り合い、男たちの怒号、ニシンの大群と、モノクロシネマスコープの画面一杯にヤン衆たちが乱舞する。黒澤、谷口のホンで深作真骨頂のダイナミズムが発揮され、何よりもクライマックスへと転がしていくドラマツゥルギーは目を瞠る。“男騒ぎする映画”とはこのことかと思った。


やくざの墓場 くちなしの花
2003.05.14 三百人劇場 ※再観賞
【24】2003年東映 監督:深作欣二 脚本:笠原和夫
CAST:渡哲也、梅宮辰夫、梶芽衣子、佐藤慶、金子信雄、大島渚、藤岡琢也、室田日出男、藤岡重慶、川谷拓三、小林稔侍
●テーマを深化すればするほど娯楽の王道としての東映やくざ映画が横に逸れていくという矛盾とジレンマは、深作と笠原という稀代の作り手たちの間にも横たわっていたのだろう。それでも朝鮮人の抑圧された問題をここまで照射したやくざ映画はないというのも事実で、笠原は不満だったのかも知れないが、改めて観てもやはり傑作だ。
※1976年キネマ旬報ベストテン第8位


TAXi 3
2003.05.19 ヴァージンシネマズ海老名  TAXI3
【25】2003年フランス 監督:リュック・ベッソン 脚本:リュック・ベッソン
CAST:サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタル、ベルナール・ファルシー、バイ・リン、マリオン・コティヤール
●所詮、“見せモノ”なのだから仕方ないとしても、スタントを見せるためのだけのカーアクションは好きではない。好きではないのだが、逃げていたライダーがフルフェイスを脱ぐとS・スタローンだったというオチに「何だオースティン・パワーズじゃん」と思い始めた以降は気軽に観ることが出来た。しかしベッソンってこの程度だったのか。


黒蜥蜴
2003.05.20 三百人劇場
【26】1968年松竹 監督:深作欣二 脚本:成沢昌茂、深作欣二
CAST:丸山明宏、木村功、松岡きっこ、河津祐介、三島由紀夫、宇佐見淳也、小林トシ子、小田草之助、丹波哲郎
●珍作といわれる深作映画だが、美輪の華々しくも毒々しいイメージを、木村功の明智で相対させることでしかコントラストを際立たせる術がなく、乱歩調のデカダンな耽美感を出し切れていたとは言い難い。それにしても三島由紀夫の肉人形ぶりにはウケる。三島が明智を演じる案通りの方が深作らしい“怪作”になっていたのではないか。


黒薔薇の館
2003.05.20 三百人劇場
【27】1969年松竹 監督:深作欣二 脚本:松田寛夫、深作欣二
CAST:丸山明宏、田村正和、小沢栄太郎、川津祐介、松岡きっこ、西村晃、内田良平、ジョー山中、室田日出男
●横尾忠則によるサイケなタイトルバックが終わると、真っ赤な夕陽に照らされた現実感のない海辺の街。不具合な洋館と豪奢なクラブ。黒薔薇を抱いた女が歌うボレロ。全体に漂うデカダンなイメージと、レトリカルな台詞の数々やフランス語が出てくる妙な西洋趣味。深作の“異形好き”が垣間見られる一本だが、資料的価値はあるのかどうか。


新 仁義なき戦い・組長の首
2003.05.20 三百人劇場 ※再観賞
【28】1975年東映 監督:深作欣二 脚本:佐治乾、田中陽造、高田宏治
CAST:菅原文太、山崎努、梶芽衣子、成田三樹夫、ひし美ゆり子、渡瀬恒彦、三上寛、小林稔侍、西村晃、川谷拓三
●誰が何と言おうと面白い。確かに笠原和夫の作劇術と比べれば、繊細さはない。しかし大胆ではあるし、重みはなく徹底的に軽いが、 “仁義なき戦い”のタイトルがついたどの作品よりも疾走感を味わうことが出来る。だから何度見ても面白い。現に今こうしてスクリーンで再会した直後でさえ、帰宅してビデオで観てもいいくらいだ。


マトリックス リローデッド
2003.05.24 ヴァージンシネマズ海老名 THE MATRIX RELOADED
【29】2003年アメリカ 監督:ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー 脚本:ウォシャウスキー兄弟
CAST:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ローレンス・フィッシュバーン、モニカ・ベルッチ、ヒューゴ・ウィービング
●『マトリックス』的世界観があるとすれば、その世界観を無限に拡大してみせるだけといわんばかりに、文章では再現不可能のあらゆるイメージの洪水で押しまくってくる。ネオと無数のコピー人間たちとの格闘やハイウェイでのカーチェイスなど、観る方が根負けするくらいの豊穣なイメージは、観ていて楽しいというよりもただ疲れた。


現代やくざ・人斬り与太
2003.05.26 三百人劇場 ※再観賞
【30】1972年東映 監督:深作欣二 脚本:石松愛弘、深作欣二
CAST:菅原文太、渚まゆみ、安藤昇、室田日出男、待田京介、小池朝雄、内田朝雄、地井武男、諸角啓二郎
●徹底的な暴力映画という定説にこだわってしまうと、文太と渚まゆみの繋がりが肉体的な関係としてではなく、赤飯の握り飯に象徴される母親幻想では幾らなんでも甘いというのが初見時の評価だった。しかし日陰者同士のメロドラマという側面を見出した時、俄然面白くなる。渚まゆみがこんなにも愛おしかったとは。


人斬り与太・狂犬三兄弟
2003.05.26 三百人劇場 ※再観賞
【31】1972年東映 監督:深作欣二 脚本:神波史男、松田寛夫
CAST:菅原文太、渚まゆみ、田中邦衛、三谷昇、内田朝雄、渡辺文雄、室田日出男、小林稔侍、今井健二、須賀不二男
●プロデューサーの俊藤浩滋がこれを観て「お前なぁ、いくらなんでも日本は法治国家だぜ」と漏らしたエピソードがある通り、深作は文太の暴れっぷりだけで映画を作ってしまった。この痛快さには論理のタテ糸もヨコ糸もなくただひたすらにがむしゃらな暴力衝動のみがある。深作の悪ガキぶりがいかんなく発揮された大好きな一本だ。


忠臣蔵外伝/四谷怪談
2003.05.26 三百人劇場
【32】1994年松竹 監督:深作欣二 脚本:吉田求、深作欣二
CAST:佐藤浩市、高岡早紀、津川雅彦、渡瀬恒彦、荻野目慶子、渡辺えり子、石橋蓮司、蟹江敬三、田村高廣、真田広之
●オルフの「カネミナ・ブラーナ」が荘厳に鳴り響くタイトルバックから異様なテンションで進行し、全編に渡ってマーラーの交響曲や琵琶の音色、義太夫が鳴りやまない中で、作り込んだ極彩色の映像が展開していく。この映像と音の氾濫に、役者たちの狂気じみたテンションと併せて凄い圧倒感だった。90年代の深作復活の象徴だったか。
※1973年キネマ旬報ベストテン第2位


いつかギラギラする日
2003.05.27 三百人劇場
【33】1992年松竹 監督:深作欣二 脚本:丸山昇一
CAST:萩原健一、木村一八、荻野目慶子、千葉真一、多岐川裕美、石橋蓮司、原田芳雄、樹木希林、安岡力也、八名信夫
●金は懸っているがB級テイスト満載のギャング映画。脚本の丸山は、大人と若者の対決軸で話しを進めたかったらしいが、完成した映画は金に目を血走らせた人間たちの破壊衝動が炸裂して終わったという印象だった。思えば深作信者が夢想して止まなかったのはこんな映画であり、そんな我々への深作からのプレゼントだったのかも知れない。
※1992年キネマ旬報ベストテン第7位


おもちゃ
2003.05.27 三百人劇場
【34】1999年東映 監督:深作欣二 脚本:新藤兼人
CAST:宮本真希、富司純子、南果穂、喜多川舞、魏涼子、津川雅彦、岡田茉莉子、三谷昇、野川由美子、加藤武、六平直政
●悲惨な状況を悲惨に描写することに嬉々としていた感のある深作が何故ここまで緩く、淡々とした物語を最後の京都撮影所作品に選んだのだろう。神々しいまでの水揚げの場面はビデオでは冗長に感じたが、新人女優に自分の病状を察していた深作が文字通り水揚げして見せたのではないだろうか。藤乃屋でのお祝いの宴会が何故か心を打つ。


約 束
2003.05.27 自由ヶ丘武蔵野館
【35】1972年松竹 監督:斎藤耕一 脚本:石森史郎
CAST:岸惠子、萩原健一、南美江、三國連太郎、殿山泰司、中山仁、姫百合子、土田圭、大久保敏男
●ずっと映画館で観たい映画だったが今観ると古色蒼然たる印象は拭えない。しかし岸惠子のミステリアスな大人の佇まいとショーケンのナイーブな感性の対比は悪くないし、饒舌すぎる日本海の風景描写も斎藤耕一の持ち味なのだろう。期待していた通りとはいかなかったものの、70年代に輝いていた形跡は十分に感じ取れて今は清々しい。
※1972年キネマ旬報ベストテン第5位


めぐりあう時間たち
2003.05.29 ヴァージンシネマズ海老名  THE HOURS
【36】2002年アメリカ 監督:スティーヴン・ダルドリー 脚本:ディヴィッド・ヘア
CAST:ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、エド・ハリス、クレア・デインズ、トニー・コレット
●映画は3人の女たちの一日を追いながら、巧妙に時間軸をずらしていくことで様々な人生の内の「愛」と「死」の不変を描いていく。過去を描きつつもそこにノスタルジーはない。時間軸は変動しても、すべてが不変の名の下に現実であるからだ。やや残念だったのは、不変をあぶり出しつつ最後に物語に整合性を持たしてしまったことか。
※2003年キネマ旬報ベストテン第3位


風来坊探偵・赤い谷の惨劇
2003.06.02 三百人劇場
【37】1961年ニュー東映 監督:深作欣二 脚本:松原佳成、神波史男
CAST:千葉真一、曽根晴美、北原しげみ、小林裕子、故里やよい、関山耕司、宇佐見淳也、安藤三男、神田隆、久地明
●深作欣二を追いかけて四半世紀。ついにデビュー作に辿り着いた。1961年ということで、キャリアが私の生まれ年から始まったことを改めて知る。確かに内容は新人俳優を使った低予算早撮りのSP映画で、日活無国籍アクションの丸パクリだが、深作=千葉のコンビがやがて海外の作り手たちからもリスペクトされる存在となるのだから面白い。


風来坊探偵・岬を渡る黒い風
2003.06.02 三百人劇場
【38】1961年ニュー東映 監督:深作欣二 脚本:松原佳成、神波史男
CAST:千葉真一、曽根晴美、北原しげみ、小林裕子、故里やよい、関山耕司、宇佐見淳也、安藤三男、神田隆、久地明
●デビューから公開が2週間後。役名こそ違うものの出演者が全員同じという珍妙な2本立て体験。2作同時に作ってしまう当時の映画界の自転車操業ぶりが窺えて楽しいが、この連作が箸にも棒にもかからないかといったら、銃撃戦の果てにダイナマイト戦まで発展させる過剰なアクション志向は微笑ましいまでに深作欣二そのものだった。


ファンキーハットの快男児
2003.06.03 三百人劇場
【39】1961年ニュー東映 監督:深作欣二 脚本:田邊虎雄、池田雄一
CAST:千葉真一、中原ひとみ、波島進、花沢徳衛、八代万智子、岡本四郎、十朱久雄、加藤嘉、潮健児、岩城力也
●あまりの完成度の高さにぶったまげてしまった。本来なら90分あってもいい練られた脚本を60分に凝縮させ、アクションもきっちりと見せるという作りなので、場面展開にタメがない恨みは残ったものの、その分無類のスピード感を獲得した。とにかく痛快な夢のように過ぎて行く。これがデビュー作だったらもっと注目されていたに違いない。


ファンキーハットの快男児・二千万円の腕
2003.06.03 三百人劇場
【40】1961ニュー東映 監督:深作欣二 脚本:田邊虎雄、池田雄一
CAST:千葉真一、中原ひとみ、波島進、花沢徳衛、小川守、岡本四郎、十朱久雄、佐藤晟也、潮健児、岩城力也
●千葉は、前作では大車輪を披露したが、今度は干潮の時だけ道が出来るという軍艦島へ、馬で大海原をかき分けるように疾走する。憎たらしいことに前作を踏まえてシリーズものの愛着さえ漂わせている。三保敬太郎の叩きつけるジャズが全編に響き渡る中、これまた絶好調の脚本で一気に見せる。深作欣二31歳。ここまで侮れないとは・・・。


北海の暴れ竜
2003.06.07 三百人劇場
【41】1966年東映 監督:深作欣二 脚本:佐治乾、神波史男
CAST:梅宮辰夫、高城丈二、山城新伍、沢彰謙、藤田進、阿部徹、室田日出男、谷隼人、清川虹子、三原葉子、水島道太郎
●かなり知名度のない映画で名画座で上映されていた記憶もない。今回のニュープリント上映は本当に有難く、監督が死んで生き返る映画もあるのだと感慨深い。内容は深作映画史上で最大限に任侠映画のルーティンに従うものだったが、任侠映画独特のコクに欠けるのは作り手の資質であって梅宮主演だからというわけではない。


仁義の墓場
2003.06.08 三百人劇場 ※再観賞
【42】1975年東映 監督:深作欣二 脚本:神波史男、松田寛夫
CAST:渡哲也、梅宮辰夫、多岐川裕美、成田三樹夫、安藤昇、芹明香、山城新伍、ハナ肇、今井健二、室田日出男、三谷昇
●追悼上映会のラスト・ピクチャー・ショーはこれをおいて他にない。わが生涯のベストワンであると常日頃から公言する作品だ。プリント消滅で映画館から消えていた18年。何度、ビデオデッキに手を伸ばしかけたことか。18年の邂逅と40を過ぎた自分の情動は、この映画を“愛おしさ”という別次元へと追い立ててしまったのかもしれない。
※1975年キネマ旬報ベストテン第8位


ソラリス
2003.06.25 ヴァージンシネマズ海老名  SOLARIS
【43】2003年アメリカ 監督:スティーヴン・ソダーバーグ 脚本:スティーヴン・ソダーバーグ
CAST:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、ジェレミー・デイヴィス、ヴィオラ・デイヴィス
●J・キャメロンとS・ソダーバーグの二大寵児が挑む『惑星ソラリス』。最大限に期待したもののタルコフスキーの名作のリメイクではなく、レムのSF小説の金字塔の再映画化だったか。ソラリスの海を現在や哲学ではなく、愛と懺悔に求めるあたりはハリウッドらしいといえばらしいが、タルコフスキーには遠く及ぶものではなかった。


バトル・ロワイアルII 鎮魂歌 <レクイレム>
2003.07.05 ヴァージンシネマズ海老名
【44】2003年東映 監督:深作欣二、深作健太 脚本:深作健太、木田紀生
CAST:藤原竜也、前田愛、忍城修吾、竹内力、前田亜希、ビートたけし、三田佳子、千葉真一、津川雅彦、加藤夏希
●72歳の大物監督の遺作とするか、若干30歳の新人監督デビュー作とするかで、この映画が示唆するものがまるで違ってくる。教師キタノの娘・シオリを狂言廻しとして、父親の残した一枚の絵から想起される七原秋也と、この新BR法なるものを基準に開始される戦闘と殺戮をストレートに追うべきだったのではないか。構成の不備が残念。


映画 クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード
2003.07.11 秦野名画座
【45】2003年双葉社=シンエイ=テレビ朝日他 監督:水島努 脚本:原恵一、水島努
CAST:(声)矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、華原朋美、こおろぎさとみ、真柴摩利、納谷六朗、一龍斎貞友、佐藤智恵
●前2作はビデオで泣かせてもらったが、今回は潔くジェットコースターのようなドタバタのギャグに特化。これはこれで名作映画のパロディもあって大いに楽しませてもらった。要は作り手のセンスがいいのだと思う。泣くことはなかったが、野原家の大冒険がみんなで高級焼き肉を食うんだという決着はなかなか感動的だったのではないか。


名探偵コナン/迷宮の十字路<クロスロード>
2003.07.11 秦野名画座
【46】2003年東宝=日テレ=小学館 監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成
CAST:(声)高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、林原めぐみ、田中秀行、茶林坊、山口勝平、堀川りょう、緒方賢一
●『名探偵コナン』では怪盗キッドよりも服部平次が活躍する話の方が好きだ。クライマックスもいつもの派手な爆破シーンではなく、京都の数え唄が判じ物になっているあたりはなかなか渋い。「義経になりたかった弁慶か…。あんたが弁慶やったら安宅の関所で義経は切り殺されとるわ」の台詞も決まった。ちと強引だったが・・・。


ターミネーター3
2003.07.12 ヴァージンシネマズ海老名  TERMINATOR 3: RISE OF THE MACHINES
【47】2003年アメリカ 監督:ジョナサン・モストウ 脚本:ジョン・ブランケート、マイケル・フェリス
CAST:アーノルド・シュワルツェネッガー、ニック・スタール、クレア・デーンズ、クリスタナ・ローケン
●シュワちゃんのキャリアの飛躍もあるだろうが、悪役で登場して次第に子供の味方になっていくのは特撮シリーズもののお約束か。しかし『T2』にあったターミネーターとジョン・コナーのドラマの必然性はなく、ひたすら物量に物をいわせた破壊シーンが描かれるのにすっかり「飽き」がきて、正直「審判の日」なんてどうでもよくなった。


踊る大捜査線 THE MOVIE2・レインボーブリッジを封鎖せよ!
2003.07.21 ヴァージンシネマズ海老名
【48】2003年フジテレビ=東宝 監督:本広克行 脚本:君塚良一
CAST:織田裕二、深津絵里、いかりや長介、真矢みき、岡村隆史、柳葉敏郎、水野美紀、ユースケ・サンタマリア、北村総一朗
●前作は楽屋落ちとパロディと称したパクリにすっかり辟易させられたものだが、今回は途中までは悪くなかった。しかし肝心のレインボーブリッジ封鎖の過程があまりにもショボ過ぎて「ふざけんな」となった。小ネタはどうでもいいわけで、きっちり事件を描かんかい!作り手には観客大動員なりの責任も感じてもらわんと。


八月の濡れた砂
2003.07.26 国立近代美術館フィルムセンター ※再観賞
【49】1971年日活 監督:藤田敏八 脚本:大和屋竺
CAST:村野武範、広瀬昌助、テレサ野田、藤田みどり、渡辺文雄、地井武男、原田芳雄
●20年ぶりの再会だ。我々があれほど時代の象徴的存在としてパキさんについて語り明かしたこと自体がサブカルの一現象だったのだろうか。中学生から深夜放送を聴き始め、そこから仕入れる若者文化を背伸びをして一所懸命に取り込もうとしていたとき、『八月の濡れた砂』を観るということが、その入り口に立つことだった。
※1971年キネマ旬報ベストテン第10位


マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
2003.08.02 ワーナーマイカルシネマズ海老名  MY BIG FAT GREEK WEDDING
【50】2002年アメリカ 監督:ジョエル・ズウィック 脚本:ニア・ヴァルダロス
CAST:ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーベット、マイケル・コンスタンチン、レイニー・カザン、アンドレア・マーティン
●人種の坩堝である合衆国であるならば、こういう異文化のギャップから生じるドラマがコメディであれシリアスであれ、もっと作られてもいいのではないかと思った。もしかしたらこういう題材のものは基本単一民族国家である日本では公開されていないのかもしれない。どうであれ個人的にギリシア人との結婚は絶対無理だろうな。


デブラ・ウィンガーを探して
2003.09.06 ヴァージンシネマズ海老名 Searching for Debra Winger
【51】2002年アメリカ 監督:ロザンナ・アークエット
CAST:パトリシア・アークエット、ロザンナ・アークエット、エマニュエル・ベアール、グイネス・パルトロウ、メグ・ライアン
●そういえばデブラ・ウィンがーをすっかり見なくなった。確かに女性のキャリアとして女優という職業はまだ自由が利くようにも思うのだが、男優以上に演じる役が限定されていくのは宿命なのかもしれない。なかなか面白いドキュメンタリーだったが、スクリーンアクトレスたちには申し訳ないが、テレビで観た方が良かった気もする。


座頭市
2003.09.13 ヴァージンシネマズ海老名
【52】2003年松竹=バンダイ=オフィス北野 監督:北野武 脚本:北野武
CAST:ビートたけし、浅野忠信、橘大五郎、大家由祐子、ガダルカナル・タカ、大楠道代、柄本明、岸部一徳、夏川結衣
●かなりエンタティメントに徹した北野映画だったが、意外にも時代劇演出も悪くないとは思った。しかし果たして面白いといえたのだろうか。村人たちのタップダンスばかりをクローズアップした宣伝の影響か、たけしらしい殺陣の斬新さをもっと見せてほしかったと思う。いずれにしても最後のオチはあまりにいただけない。
※2003年キネマ旬報ベストテン第7位


英雄/HERO
2003.09.20 ヴァージンシネマズ海老名 英雄HERO
【53】2002年中国 監督:チャン・イーモウ 脚本:ビル・コン、リー・フェン
CAST:ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェン、チェン・ダオミン
●ワイヤーアクションを初めて観たのはユン・ピョウ主演のツイ・ハーク『蜀山奇傅/天空の剣』だったか。その時の印象は「何だ?これ」だった。中国の武侠にあまり馴染みがないこともあって、このチャン・イーモウのひたすらワイヤーによる摩訶不思議な映像を眺めているうちに映画が終わってしまった。いやずっと睡魔と戦い通しだったか。


マトリックス レボリューションズ
2003.11.05 ヴァージンシネマズ海老名 THE MATRIX REVOLUTION
【54】 2003年アメリカ 監督:ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー 脚本:ウォシャウスキー兄弟
CAST:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ローレンス・フィッシュバーン、モニカ・ベルッチ、ヒューゴ・ウィービング
●これは“サイバー・パンク・ムービー”の傑作だという。従業員のバイトに説明されてもまったく理解出来ずに、これはもう世代的な感性のギャップなのだと思ってしまった。アンディとラリーのウォシャウスキーは2つ違いの兄弟で私よりも年下なのだが、歳の差以上にアニメ世代といわれている若者たちにシンクロする感性を持っているのだろう。


キル・ビル
2003.11.08 ヴァージンシネマズ海老名 Kill Bill Vol.1
【55】 2003年アメリカ 監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ
CAST:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、マイケル・マドセン、ダリル・ハンナ、サニー千葉、栗山千明、風祭ゆき
●もうやりたい放題し放題のオタク全開の超自己満足映画なのだが、困ったことにタランティーのオタクの志向が私とあんまりにもシンクロしすぎて全編笑い通しだった。なにせハリウッド映画のエンディングロールのバックに梶芽衣子の「恨み節」だぜ。決闘の場面に「修羅雪姫」だぜ。これが愛せずして何が映画ファンなのか。
※2003年キネマ旬報ベストテン第10位


ラスト サムライ
2003.12.06 ヴァージンシネマズ海老名 THE LAST SAMURAI
【56】2003年アメリカ 監督:エドワード・ズウィック 脚本:エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコヴィッツ
CAST:トム・クルーズ、ティモシー・スポール、渡辺謙、真田広之、小雪、中村七之助、ビリー・コノリー、原田眞人、福本清三
●明治政府の方針でアメリカ軍が侍狩りをやる話と聞いた時は、どんな国辱映画を見せられるのかとかなり心配した。確かに変な忍者が出てきたりキッチュな場面も散見されたのだが、トム・クルーズの的確な旗振りと渡辺謙の存在感ですべてが杞憂に終わり安心した。何よりもハリウッドの作り手たちの武士道への好意的な視点に感謝したい。
※2003年キネマ旬報ベストテン第5位


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